5%条項で足きりされるドイツの政党。その導入の暗い歴史的背景とは?

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同じ過ちを繰り返さないために

さて、5%条項の話ですね。その後のドイツは、第2次世界大戦の戦犯として敗戦、冷戦によって東西ドイツの分断、ベルリンの壁構築……。長く苦しい時代が続きました。多くの反省を求められているドイツですが、もとはといえば、ワイマール共和国時代に起きた政党乱立、大統領の暴走が原因。それによってナチスの台頭を許してしまった、という反省と後悔があります。

その結果が、5%条項なのです。

ドイツでは、小選挙区制を取り入れつつ、いまもなお比例代表制度を使っています。ですがワイマール共和国時代の反省を生かし、5%条項を定めています。

ドイツでは、比例代表制で5%以上の得票数を得る、もしくは小選挙区で3人以上の当選者を獲得できた政党のみ、議席が与えられます。日本にはこの条項はありませんが、トルコの10%をはじめ、ロシアの7%、そしてフランスやベルギーは5%、イタリアは4%など、一部の国は阻止条項を導入しています。

この5%条項による例を挙げてみます。

2013年2月、ドイツ中が注目する政党が設立されました。「ドイツのための選択肢」(Alternative für Deutschland)と訳される政党で、ユーロ圏からの脱退、ドイツ国境において入国管理の導入などを掲げています。「イスラム教はドイツと相容れない」と発言したことから大問題となったりと、いわゆる右翼よりの考え方です。「ヒトラーの再来」などとメディアは注目していました。(参考:熊谷徹のヨーロッパ通信 ドイツでも広がる右派ポピュリズムの暗雲

移民政策やEUの限界がみえはじめてきた中で、「移民制限」「ユーロ脱退」を掲げるこの党の行く末は、多くの人が注目していました。

設立した年の得票率は4,7%と、惜しくも5%を下回り、議席獲得にいたりませんでした。そしてドイツのための選択肢は、おもに自由民主党から支持基盤を奪ったため、自由民主党の得票率は4,8%となり、50年以上議席を守っていた政党が議席ナシという結果になりました。

そして2014年の選挙では、ドイツのための選択肢は7,4%で7議席獲得しました。

もし5%条項がなかった場合、2013年の選挙では、ドイツのための選択肢と自由民主党が議席得ていました。そして他の政党も、5%以下の得票率で議席を得ることになります。それを繰り返せば、ふたたび小政党乱立となってしまいます。それを避けるための5%条項です。

このような阻止条項を定めることによって、死票が増えます。ですが、そうまでしても議会の安定を優先しているのです。

日本で阻止条項は導入すべき?

阻止条項にも賛否があるでしょうし、5%という数値にも賛否があるでしょう。ですが日本にはない制度として、一度、「日本にも導入すべきか」を考えてみるのもいいかもしれません。

わたしとしては、1議席などでも「政党」としての体裁を保っていられるのは不思議です。いまはそこまで多くの政党がありませんが、1議席の政党が3つ、4つと増えていけば、いずれ会議に支障がでるでしょう。それならば、数値は慎重に考えるべきですが、導入した方がいいのではないかと思います。

みなさんはどう思いますか?

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この記事へのコメント 2

  • Salzbrezel のプロフィール写真 Salzbrezel より:

    政治音痴の私でもよく分かった!
    今ドイツでの「ドイツのための選択肢」(AfD)の躍進が、何を意味しているのか考えさせられますね。

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  • Zenn のプロフィール写真 Zenn より:

    CDUが苦戦する中でAfD「ドイツのための選択肢」の動向が気になりますね。とても勉強になる記事です。筆者のブログも面白いのでおすすめです。

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雨宮 紫苑 のプロフィール写真
ドイツでジャーナリズムを学んでいます。ライターとして生計を立てるべく、目下奮闘中。ドイツ発のニュースや海外生活情報などをお届けしています。


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