難民達よ手に職を!~ドイツの職業訓練システム「アウスビルドゥング」~
連邦労働省のデータによると、難民たちは故郷のためにできるだけ早くお金を得ることを望み、特別な資格や経験、職業訓練などがなくても就くことのできる派遣労働を好むという。
一方、「アウスビルドゥング(ドイツの職業訓練システム)」の人気は低い。その原因の一つは、難民の人々がこの選択肢の存在やメリットを知らないことにある。
すぐにでもお金を稼ぎたい難民たち
難民の多くは、職業訓練を積むより、すぐにでもお金を稼ぐためにアルバイトや派遣労働をしたがる傾向がある。これは、連邦労働省が明らかにした情報だ。ドイツに渡ってきた難民の多くは、故郷の家族を経済的に養わなければならない。中には高額の借金を背負っている者もいる。
「難民の人たちは、ドイツにおいて職業訓練の持つ価値を知らないことが多いのです。過小評価している人が少なくないのではないでしょうか」連邦労働省のベッカー氏は、職業訓練の重要さを伝えるためにも、難民への助言を与える機会を増やしていくつもりだという。
長期的に見ると職業訓練にメリット
労働市場・職業研究所の調査によると、アウスビルドゥングを積んだ人は、そうでない人に比べて、その職業人生で平均250,000ユーロも多く稼ぐという。
同様の問題が、商工会議所でも口にされている。ドイツ商工会議所長のエリック・シュヴァイツァーは以下のように述べている。「きちんと職業訓練を積み、専門知識や技術を身に付けた人は、失業する可能性が低く、将来的には高収入も望めます。だから、大学や職業訓練などの証明を持っていない難民たちにも、アウスビルドゥングのもたらすチャンスについて知らせてあげることが大切なのです。」
多くの選択肢を用意し、伝えるべき
アウスビルドゥングの存在やそのメリットを知らせるのは、難民を受け入れた国として当然の義務だろう。しかしここで忘れてはいけないのは、始めたからといって簡単に卒業できるわけではないということである。
ドイツ人であれば本来学校で身に付けているはずの土台が、国境を越えてやってくる難民たちにはない。その分、職業訓練学校に入ったとしても、卒業して一人前の職業人として稼げるようになるまでには大きなハードルがいくつもあるだろう。こういった現実も含めて伝えられるべきだと思う。
また、仕事をしていく上で文化や習慣の違いが問題になることもある。ドイツ人ほどきちんと時間を守らない、職場での人間関係、言葉の問題など、難民を受け入れる企業や雇用者にも寛容な姿勢と忍耐力が必要になる。
難民と一口に言っても、置かれた状況は一人ひとり違う。故郷に家族を残してきた40歳の父親であれば、職業訓練に数年費やすより、すぐにでも仕事に就きたいだろう。独り身の若者は、将来一人前の職人になるための訓練を積んだ方がいいのかもしれない。
難民を受け入れた国として、ドイツは彼らにできるだけ多くの選択肢を与え、個人に合った情報を提供できるように努力すべきだと思う。今回取り上げた「アウスビルドゥング」も、たくさんある選択肢のうちの一つとして、多くの難民に伝えられるべきことの一つだ。
参考記事: Die Welt
「アウスビルドゥング」ドイツ人には不人気との記事もありましたが、難民にとっては良いことではないでしょうか?国が生活保障をしながら職業訓練も行うのであれば、ドイツと難民、双方にとってプラス(楽観的すぎるかもしれませんが)になるのではないでしょうか。
難民の方々に職業訓練のメリットデメリットをどのように伝え、理解してもらうかが課題ですね。実際に職業訓練を受けた人の声を届けることができるといいですね。
難民を受け入れるってなった時に義理家族が大議論を繰り広げてた難民が仕事に就くという問題。
難民の中には学者や医療関係者な人達もいて、彼らが自分の本職に就ければ、特に医療現場は常に人手不足なので、ウィンウィンなのでは?と。ただ、問題は語学力。そして、難民が自分のボスになるという事に抵抗がやっぱりあるようで、結局、ディスカッションは納得のいく終わり方をしてませんでした。だったら、アウスビルドゥングを難民に。聞こえは良いかもしれませんが、そうなると黙っていられないのは、我ら外国人居住者。自分達はビザをもらう為にあの手この手、仕事の契約更新も毎回緊張。なのに、「難民」というだけで、衣食住が用意されその上、アウスビルドゥングまで紹介?! 難民じゃないと母国に帰らされるのか?と嫉妬の嵐です。 まぁ、ドイツ人は難民を受け入れはしても、そのまま定住はして欲しくないというのが本音みたいなので、実際にアウスビルドゥングを難民がするというのは、厳しいのでは?と外国人居住者として期待を込めて思いたいです。