インダストリ-4.0で職を失う!?自動化の進む世界で人間に求められること

労働環境は急速に変化している。たびたび話題に上る“インダストリー 4.0”という言葉。機械と生産プラットフォームのネットワーク化こそ、仕事の過程をより効率的で収益率の高いものにするチャンスだと見る人々がいる一方で、デジタル化と機械による仕事の自動化により働き場を失うのではないか、という不安を抱く人も少なくない。

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インダストリー 4.0でドイツ国内で1800万人分の職場が危機に

こういった不安には、それなりの理由がある。欧州経済研究センターの調査によると、ドイツ国内のすべての仕事のうち少なくとも12%が、デジタル化によって危機にさらされているという。

休むことなく稼動し、失敗もせずに生産し続ける機械が多くの仕事を人間から奪っている。単純な動作を繰り返すだけの仕事において、人間に勝ち目はない。

人間の手から完全に消える職業も少なくないだろう。そしてそれは工業・生産業にとどまらない。自動運転で走行する車の開発が進めば、タクシー運転手は居場所を失う。コンピュータープログラムが、銀行マンの代わりを務める。インターネット・ポータルサイトに、店員は必要ない。とくに消失の危機にさらされているのは、運輸、小売業といった分野である。

複雑化する仕事

職を失わずに済んだとしても、労働環境の変化への準備は欠かせない。将来的には、あらゆる単純作業は消えていく。なぜなら、同じ作業の繰り返しであれば、コンピューターが人間より速く、そして何より低コストで行うことができるからである。

デジタル化が私たち人間の手から奪うのは、ごく単純な作業であろう。複雑で、困難な仕事は消えることなく、人間の手に委ねられ続ける。その結果、人間の仕事はより密で、複雑で、ストレスのたまるものになっていくが、そういった仕事をこなす人間だけが生き残る。機械やコンピューターにはできないことをできてこそ、人間は高い報酬を得られる。

デジタル化の進む世界で人間に求められること

急速に進むデジタル化は、単純に良いか悪いかで判断できる問題ではない。むしろ大切なのは、デジタルを「どのように」、「何の目的で」使用するかである。

産業化の初期段階において、厳しい身体労働を肩代わりするなどということは機械には期待されておらず、工場所有者の利益を上げることが第一の目的であった。新たな技術や機械を取り入れる際、この目的自体は、現在まで何一つ変化していない。

ただしこれからどう変化していくのかは分らない。私たちは、常に先を見ようとしなければならない。
人間ならではの能力の重要性がこれから先さらに増していく。今後の世界を担っていく世代の者たちは、デジタル化の波を乗り切るための能力を身につけていかなくてはならない。

変化の激しい現在の経済に対応するためにできること、しなくてはいけないこと。それは、人間特有の能力を伸ばし、常に学び成長しようと努力する姿勢、また、そういった意欲ある人材を支える環境づくりではないだろうか。

未来へと導く能力の伝え手に欠ける

人工知能は“まだ今のところ”、人間のあらゆるスキルに取って代わることはできない。他者への感情移入、異文化間コミュニケーションなどは、機械にはまだ真似ができない。国境を越えて繋がるチーム活動、将来に向けた構想、こういった領域において、人間は代えのきかない存在なのだ。

ただ、こういった人間特有の能力を伝えきれていないのが、現在の教育・職業訓練システムである。大量の知識や決まりごとを詰め込む代わりに、創造性や感情知能を伸ばす努力をするべきだ。しかしそのためには、現在のシステム全体を変える必要がある。
 
変化の激しい時代だからこそ、将来を見据えて準備しなければならない。デジタル化、機械化が進んでも、人間には人間にしかできないことがある。絶えず学び、後に続く世代にそれを伝える。そういった努力を続けていくことで、人間と機械、デジタルが共存し、誰もが住みやすい世界になっていくのではないだろうか。

参考記事:
18 Millionen Stellen in Deutschland sind bedroht

この記事へのコメント 1

  • まいける のプロフィール写真 まいける より:

    工場の自動化やロボット化が話題になると必ず雇用の喪失という議論になります。しかし自動化やインテリジェント化というのは効率と品質を目指していく上では不可避です。これによってさらに硬度で複雑な工程が可能になり、それによってまた新たな雇用を創出することが可能になります。

    0

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tomo のプロフィール写真
1992年高知県生まれ。愛知県立大学外国語学部を卒業し、専攻したドイツ語を生かしたいと思い到り、渡独。 現在ドイツのフランクフルトに在住、スポーツ関係のベンチャー企業でのインターンシップに参加している。翻訳者として一語一語丁寧に、ライターとして読者に新たな気づきを与えることを心がけ、執筆活動に取り組む。


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