ドイツ産業の特徴をチェックしてみた~科学技術をベースにした基幹産業の力~
ドイツの科学技術と産業の発展
ドイツのGDPは2014年の時点で、3兆8530億ドルを記録しています。この規模はアメリカと中国、日本に次いで4番目の経済規模になります。EU加盟国の中では最大規模の経済力を有していて、工業製品の輸出額は世界でもトップクラスになります。ドイツがここまで産業の発展した背景には、高い科学技術があります。
第二次大戦で日本やイタリアと共に敗戦国となりましたが、戦前から技術力に長けていた国で、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンといった今の自動車産業に欠かせないアイテムを発明したのは、ドイツ人です。
また、スペースシャトルや固体ロケットの燃料としてしばしば使われる液体燃料ロケット技術も、ナチスが発展させた技術をベースにしているといわれています。メルセデスベンツやポルシェ、シーメンス、バイエルといった世界的にも有名な会社の本社のある国でもあります。
第二次世界大戦後、ドイツは東西ドイツに分裂しました。西ドイツは特に、戦後急速に経済発展をしてきました。1990年にベルリンの壁が崩壊し東西ドイツが統一になった時に、経済的に後発の東ドイツを受け入れたことで経済が低迷しました。
しかしここ数年ドイツ経済は持ち直し傾向が見られ、2011年以降は失業率も低水準となっています。近年では再生可能エネルギー産業が急伸していて、世界の注目を集めています。
ドイツ産業の現状は?
ドイツのGDPの産業構造を見てみると、2014年時点で第1次産業が0.9%、第2に産業が30.8%、第3次産業が68.4%という構成比になっています。
ドイツは他の先進国と比較すると、工業と建設業の盛んな地域として知られています。工業と建設業だけで、国内総生産の29%を占めており、労働力で見た場合でも、ドイツ人の1/4以上が工業もしくは建設業に携わっています。特に工作機械や自動車産業が発展している地域で、自動車産業はアメリカと日本に次いで、3番目の生産国の地位を維持しています。
世界的に有名なメーカーが数多くドイツで誕生しました。現在の製造業は、一つのメーカーですべての行程を製造することは少なく、部品などを下請けに発注することが多くなっています。ドイツの場合、この下請を担当する中堅製造会社は世界的に有名な大企業の子会社であることが少なくありません。つまり自分たちのグループの中で、全工程を賄うスタイルを取っています。グローバル化が進んでいる中で、海外のメーカーに発注することも珍しくなくなっている現状では大変珍しいとも言えます。
ドイツは輸出大国としても知られています。2013年のデータで、1兆4527億1000万ドルの輸出額に達しています。これはドイツの全生産の中でも1/3程度を占めるとされています。このため、輸出産業は、ドイツの経済に大きな影響力を有しているとされます。ドイツは現在、マクロ経済拡大の方針をとっています。その原動力となっているのが、この輸出産業とされています。
EUの中でもドイツの経済基盤は確固としています。ギリシャやイタリアの財政危機をきっかけにして、ユーロ危機が起こりました。そのような状況下でも2011年のドイツの経済成長率は3%弱あります。機械や自動車、電子などの基幹産業が堅調なことで、ユーロ全体の経済停滞にもかかわらず、ドイツは安定した成長を記録しているわけです。
1 2
日本とドイツは、工業製品ではよく対比されますが、あきらかに製品開発の姿勢に違いがあります。それは自動車を見るとよくわかります。日本の製品開発は、必要な性能を確保した上でいかにコストを切り詰めるかというところを追い求めます。結果としてコスト競争力の高い製品を生み出してきました。一方でドイツ製品は、単に必要な性能を確保するだけでなく、メーカーとして譲れない品質レベルというのを持っていて、そこを我慢してコストを下げるということはないようです。それがドイツ製品の上質感として必ず世界で一定以上の評価を受けるところです。近年ではそこが見直されてきて、日本でもドイツ車のシェアが伸びているようです。
ドイツ産業はとにかく堅実。そのイメージがありますが、実際のところどうなのでしょうか?
[…] […]