ベーシックインカムで人々の生活はどう変わる?~ベルリンでの導入実験~
何もしなくても、最低限の生活に必要なお金が手に入る。なんとも魅力的な世界を実現しようというアイデアが「無条件でのベーシックインカム」と呼ばれる制度である。
働かなくてもお金がもらえる世界で人々の生活はどう変わるのか。現在、ベルリンで実際にこの制度を試みる活動が行われている。
議論するよりチャレンジ
ベーシックインカム制度についてドイツではまだ議論の段階である一方で、すでに26人がこの理想を手にしている。ベルリンに住むミヒャエル・ボーマイヤー氏は、自ら立ち上げたクラウドファンディング・プラットフォーム「Mein Grundeinkommen」(「マイ・ベーシックインカム」著者訳)を通じて寄付金を募り、ここまで26人にベーシックインカムのある生活を実現させている。
このシステムを簡単に説明すると、ウェブ上で登録した応募者の中から、寄付金が12,000ユーロ集めるたびに抽選でお金を受け取る人が選出され、当選者には、その後一年間にわたって毎月1,000ユーロのベーシックインカムが支給されるというものだ。その一年間、受給開始前後での生活の変化や、受け取ったお金で行った活動などをホームページ上で報告する。
実際にベーシックインカムを受給する人たちの声
クラウドファンディング計画のスタートから3週間後には、最初の12,000ユーロが集まったという。現在までに寄付をした人の数は31,000を超え、26人の当選者がベーシックインカムを受給している。
ベーシックインカムの問題として「生活を保障されると働かなくなる人が増えるのではないか」という点が指摘される。しかし、「マイ・ベーシックインカム」の当選者のほとんどはそれまでの仕事を続けるという。
ベーシックインカムによって経済的な懸念から解放されたと語る芸術家の女性もいれば、多額の借金を返済することができたという者もいる。多くの当選者が、不安の少ない生活を送れるようになったと口をそろえて報告している。ベーシックインカムに人々の不安を取り除く力があるのは間違いない。そして経済的な不安がなくなることで、仕事にしてもプライベートにしても生き生きとした生活を送れるようになると思われる。
ベーシックインカムによって創造力が解放される
ボーマイヤー氏自身もベーシックインカム生活を送る一人である。ホームページで公開している動画の中で、彼は以下のように語っている。
「実は、何もしなくてもお金がもらえるなら怠けるようになるんじゃないかと思っていたんだ。でも実際には、ベーシックインカムを通じて創造意欲が湧いてきた。これには、正直僕も驚いているんだ。」
以前に比べ自由で、不安をほとんど感じなくなり、頭の中はさまざまなアイデアで溢れているという。さらに、ボランティア活動に参加するようになり、父親として子どもと過ごす時間も増え、生活全体が以前より健康なものへと変化したそうだ。
「ベーシックインカムは、多くの人の創造力を掻き立てると思う。僕だけが例外ではないはずだ。」とボーマイヤーは言う。
まだまだ挑戦は始まったばかり
“ベーシックインカムは、さまざまなレベルで社会の進歩に貢献するシステムであり、またドイツが国家全体で導入しても機能するに違いない”
この考えが正しいということを、彼はこの実験を通じて示そうとしている。政策としてベーシックインカムの導入を検討しているスイスやフィンランドのような国と比べると、遅れをとっているといえるかもしれない。そもそも国によって社会保障制度は異なり、ドイツという国でベーシックインカムが実現する可能性、導入するメリット・デメリットなど、不明な点が多いのも事実である。しかし、議論をしているだけでは前に進まない。
「最低限の生活が保障されたとき、人はどのように行動するのか」膨大なアンケートをとるより、小規模でも実際にテストしてみることでわかることは多いはずだ。
貧困を解決する、社会保障制度の無駄を減らす、といった効果が期待されるベーシックインカム。ただ個人的に一番気になるのは、仕事が生きていくための必須条件でなくなったとき、人々が自分の生き方や働き方をどう創っていくようになるのか。まさにこの点で、ベーシックインカムが人々の「創造力」を掻き立てるのではないかと期待している。
一人ひとりが人生を創造する力がより試されるようになるはずだと。ボーマイヤー氏の挑戦はまだまだ始まったばかり。今後の進展に注目したい。
参考記事: Huffingtonpost
ベーシックインカムという制度はいいですね。
四六時中お金を稼ぐことに頭を使わなくていいから、収益を上げることだけに専念せずに、自分の趣味を満喫したり、
生活に余裕ができるから人間の性格も比較的穏やかになるかもしれない。
これからロボットが単純作業をしてくれるので余暇時間は増えるしベーッシクインカム制を導入すればいろいろなことに挑戦できるので僕はとても楽しみです。
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ドイツでBI実験中。とりあえずやってみよう!と。民間でクラウドファンディングを使って、寄付金を財源としている。 #ベーシックインカム
他の記事とは別目線で書かれたこの記事。読むとプラスなことばかり。
確かに、月1000ユーロを生涯もらえるなら、そのお金で車が買えたり(自分が今一番必要な物)、休暇に行けたり、個人の充実には大いにプラスに働くと思う。記事にもあるように創造性がましてよりクリエイティブに生きれる。響きはとても素敵やけど、実際に導入されたとして本当にみんながみんなそうなるのか?という疑念も。「実験的で更にその生活をホームページで報告。」だからこそ自分の人生に意欲的な人が応募をし、当選、そして、リア充を報告。これが期限付きでもなく、報告の義務もなく一生涯お金がもらえるとしたら?それでもクリエイティブに生涯を過ごす人だけになるのか?もっと現実的に、例えば、無期限やけど、突然の打ち切りもあり得るという設定にして、プラス抜き打ちで観察官が現状を確認しに来るとか、もっとバリエーションをつけた実験が必要なのではと思ったりします。