テレビ放映による収入をめぐるブンデスリーガクラブ間の争い

現在、ブンデスリーガ一部、二部に属す36のクラブチームが顔を合わせ、話題となるのはお金である。

これから先、サッカーブンデスリーガの一部、二部に所属するクラブチームは、いったいどれだけの収入を得ることができるのだろうか?そして何より、そのお金はどこに振り分けられるのだろう?意見の分かれるこの2つの問いが、ブンデスリーガ加盟クラブの代表者会議の中心テーマとなるはずだった。

スポンサーリンク

各クラブに分配されるTV収益

TV収益の増加により、ヨーロッパの移籍市場における選手価格相場は上がる一方だ。スポンサーの投資のおかげで、優れた選手を買い、その結果好成績を収めるチームがある。現代のサッカーにおいては、“お金がゴールを決める”といっても過言ではないのである。

これまで、TV放映の収益に関しては分配方式がとられてきた。現在、これを疑問視する声が上がってきている。分配基準により、上位のチームほどTV収益も多くせしめているのが現状である。財政的に弱いクラブにとって、上位クラブと張り合うことはほぼ不可能といってもよいだろう。現在のこのシステムから結束が生まれることはない。数年前からブンデスリーガ一部、二部チームの間で育まれてきた連帯関係までもが、現在危機に瀕している。

FCザンクトパウリの提案

最初に波風をたてたのは、ブンデスリーガ二部のFCザンクトパウリによる提案だった。これは、コンツェルンや後援者が50%以上の株を所有するクラブを、TV収益の分配先から除外することを要求するものであった。経済力のある第三者がクラブ経営に介入し、資金を出すことで強くなったチームが、成績を上げるとさらなる収益を得る。このままでは、サッカーというスポーツそのもの以外-お金-への関心や利害が中心になってしまう可能性がある。現行システムへのこういった疑問から、FCザンクトパウリの提案は生まれた。

ちなみに現在この条件が該当するのは、ヴォルフスブルク、レヴァークーゼン、ホッフェンハイムであり、近い将来ハノーファー96もここに加わる。

当初より、この提案が成功する見込みは薄いと見られていた。FCザンクトパウリの要求が実現すると、ビッグクラブはTV収益の分配対象から追い出され、各クラブが自らの商品化に奔走するようになる。そうなれば、リーグが破局してしまう。数年前から実践されてきたリーグ内での連帯の終結を意味することになるからである。
 

TV収益に関する議論

現在の配分方式がなくなった場合、最も得をするのはFCバイエルン・ミュンヘンである。自らの力で、放映権をバイエルンよりも高く売ることのできるクラブはない。現在、FCバイエルン・ミュンヘンが、TV収益全体のうちおよそ5000万ユーロを受け取っている。TV放映による収入を、分配ではなく各クラブごとにした場合、この額は2億ユーロに跳ね上がる。

FCザンクトパウリの提案が通れば、TV収益に関する新たな契約は、2016年の初めに公示、同年3月には署名が行われ、2017‐2018シーズンには発効する予定であった。

その第一歩として、シーズンの収益が10億ユーロまで増える必要がある。次の段階では、分配する方法が問題となる。そういったところまで想定は進んでいたのだが、FCザンクトパウリは12月1日、TV収益の分配方法変更に関する提案を取り下げた。その理由についてレッティヒ氏は、「今はまだその時ではない。」と語っている。提案に対する世間の反応に、彼自身驚きを隠せないようだ。中央機関による配分への疑問の視線が注がれており、リーグ全体の連帯が疑われている。

サッカーとお金の関係

今シーズン、TV放映で得たおよそ8億5000万ユーロが36のクラブへと分配される。好成績を収めたチームほど多くの収益を得られる現在のシステムでは、実力の差が大きくなり続けるのは明らかだ。お金さえあれば強くなれる、という考え方をするクラブが出てきても仕方がないのかもしれない。

サッカーファンである筆者としては、スポンサーの力で人工的にテコ入れされたクラブが、熱狂的なファンに支えられてきたFCザンクトパウリのようなチームよりも収益が多いという事実に対し、疑問を抱かずにはいられない。各クラブのスタジアム、アウェーゲームでの様子などをTVでもいいから見てみると、ファンの数の違いに気づくだろう。とくにドイツのサッカーは、ファンに支えられ、成長を遂げてきた。毎試合声援を届けるためにスタジアムに駆けつけるファンの努力も、お金の力には太刀打ちできない。現在のサッカーを取り巻くのは、そういう状況なのである。

TV収益に関する議論を含め、サッカーとお金の関係がこれからどうなっていくのかについて、ドイツでは様々な意見が飛び交っている。今後のサッカー界が、金銭的な問題と全く無関係でいられることはありえない。しかし、“お金がすべて”という世界になれば、サッカーの成長を支えてきたはずのファンでさえ、背を向けてしまうだろう。TV放映による収益がリーグにおける成績のみを基準に配分されている現状は変わるべきだ。サポーターや観客動員数、TV視聴率など、総合的にクラブを評価するシステムを今後構想していかなくてはならない。

参考記事:
Profiklubs streiten um TV-Gelder

感想・意見をみんなと共有しよう!!

tomo のプロフィール写真
1992年高知県生まれ。愛知県立大学外国語学部を卒業し、専攻したドイツ語を生かしたいと思い到り、渡独。 現在ドイツのフランクフルトに在住、スポーツ関係のベンチャー企業でのインターンシップに参加している。翻訳者として一語一語丁寧に、ライターとして読者に新たな気づきを与えることを心がけ、執筆活動に取り組む。


関連記事

このページの先頭へ

Social Media Auto Publish Powered By : XYZScripts.com
ツールバーへスキップ