日本とは大きくちがうドイツの学生の進路

日本は大学に入学すればこっちのもの。あとはある程度マジメにやっていれば、医学部や薬学部を除き、基本的には4年で卒業できます。

ですがドイツでは、大学に入学してからが勝負。大学在学中にしっかりと勉強しないと卒業できません。その分、大学卒業は就職活動で大きなメリットとなります。

そんな本気のドイツの学生たちですが、卒業後の進路はどうなっているのでしょうか。

卒業がどんどん早まるドイツ

ドイツでは最近まで、学士ではなくディプロマという学位が一般的でした。ざっくりと言えば、学士+修士の内容をひとつの学位にまとめたような制度です。そのため、一度大学に入ると卒業に時間がかかり、学生の高齢化を招きました。

子どもがたくさんいれば問題ないのですが、少子化の時代、みんながいつまでも学生でいられたら困ります。ということで、EUの方針もあり、学士(バチェラー)と修士(マスター)という学位を取り入れました。

その結果、平均的な大学生の在学期間はどのように変わっていったのでしょうか?

平均的な在学学期数http://de.statista.com

2003年の時点では、まだディプロマが一般的。そのため11,7学期、つまり約6年間在籍している人が平均的でしたが、学士制度導入により在学期間の短縮に成功し、2014年では平均して4年で卒業するという結果となりました。

大学卒業者の平均年齢も、下のグラフのようにどんどん若くなっているのがお分かりになるかと思います。

大学卒業者の平均年齢http://de.statista.com

ディプロマが一般的で、平均して6年間大学に在籍していた2003年。卒業者の平均年齢は27,9歳です。4年での卒業が平均的となった2014年では、卒業時の平均年齢は24,4歳とずいぶん変化しています。

27,9歳といえば、日本だと4年生大学を卒業して5年くらい働いていますよね。20代後半でも学生がふつうであったドイツですが、近年は大学の在学時間がずいぶんと短くなっています。

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ドイツの学生の大学卒業後の進路は?

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この記事へのコメント 14

  • まいける のプロフィール写真 まいける より:

    日本では特に理系学部では、就職が厳しくなると進学希望者が増えます。いずれにせよ、日本では大学は就職のための単なるハク付け感が高いのは問題です。受け入れる企業側でも大学での専攻などまったく無視して配属を決めることも多く、やはり教育改革が必要だし、企業側ももっと大学教育に対する支援を行うべきでしょう。

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  • Zenn のプロフィール写真 Zenn より:

    「学士から修士への進学が多数派、ドイツ国外での就職に抵抗がない」日本の大学生とはまったく違いますね。大学入学がゴールみたいな日本は、進学でも就職でもなんか幼く見えますね。

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  • kimura12548 のプロフィール写真 kimura12548 より:

    日本でも専門性の高い分野では、修士への進学は多数派です。
    医学部や薬学部の6年制の学部に限らず、大学の教育過程自体が6年間いることを半ば前提で組まれています。
    また、修了後の就職先になる企業も、基本的には修士卒以上を募集条件にしています。

    「大学は4年間だけ」「入学すれば卒業は簡単」が多数派という事実が悲しいですね。
    と考えると、世界各国の教育レベルを一律に大学進学率とかで評価するのも微妙ですね。

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  • ゆうちゃん のプロフィール写真 ゆうちゃん より:

    確かに。学生でも働いている人も居るし、就職を見据えて学生期間にインターンをする人も多いし、多様性がある気がします。より実力社会なのかもしれないですね。

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  • kisetu-ju のプロフィール写真 kisetu-ju より:

    日本は入学が大変だと言われており全く逆ですね。国家試験をうけるために猛勉強し卒論を書けば、意外に学校は卒業できます。しかし就職してどれだけの人が即戦力になるでしょう。やはりそれを考えるとドイツのように卒業できない方がしっかり勉強でき知識を得るのではないでしょうか? 大学にはいったらokではなく、しっかりと専門性を学んでほしいものです。

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  • keiichi0218 のプロフィール写真 keiichi0218 より:

    日本が異常なのではないのだろうけれども、ドイツのほうがより目的のある学生が多いように見えます。日本では大学での専門性といっても医療を除けば、就職した後はあまり生かされない気がします。いわば就職予備校という感じでしょうね。

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  • ren misaki のプロフィール写真 ren misaki より:

    環境がまったく違うのでなんとも言えませんが、日本でも同じようにしようとすると、企業だけに留まらず一般家庭の考え方まで変えていかなければいけませんね。

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  • シルバー のプロフィール写真 シルバー より:

    学士と修士を取り入れることによってこんなにも変化するとは思いませんでした。日本では大学の学部を卒業することが出来れば学士は貰えるので考えたこともなかった。これからドイツは就職の平均年齢・仕事の改革がより一層進むと思われる。

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  • 横塚まこと のプロフィール写真 横塚まこと より:

    教養の深い国民が増えますね。ドイツの哲学者や医学を日本が取り入れた時代からドイツはインテリジェンスの先進国だと思います。

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  • ルーナ のプロフィール写真 ルーナ より:

    日本の大学制度も、学びたい人は誰でも学べるように、入試はもう少し優しくして、進級や卒業のための単位認定を難しくした方が良いのでは?

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  • hirokin888 のプロフィール写真 hirokin888 より:

    ドイツ哲学の研究者になりたかった。。残念無念。。

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  • あおい のプロフィール写真 あおい より:

    日本と比べると、教育制度が格段に違いますね。こうした違いから日本に生まれてきてよかったなと実感しました。

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  • yusuke のプロフィール写真 yusuke より:

    EUの大学では修士の立ち位置は日本とは違いますね。
    さっさと卒業する人は確かに多いイメージです。

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  • iudex のプロフィール写真 iudex より:

    無理に就職に就いてもらう年齢をわざわざ下げる努力をしやんでも、学生さん達は日本と違って、やりたいビジョンが結構明確な人達多いんでそんなに心配することはないかなと、個人的には思います。自分の周りだけかもしれませんが><

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雨宮 紫苑 のプロフィール写真
ドイツでジャーナリズムを学んでいます。ライターとして生計を立てるべく、目下奮闘中。ドイツ発のニュースや海外生活情報などをお届けしています。


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