「ドイツなら育児休暇は認められる」のワナ

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ドイツなら育休とキャリア両立?

女性の社会進出が進んでいるいま、仕事と家庭の両立のむずかしさが取り沙汰されています。ですがこうして見れば、ドイツの育休は取得しやすく、国の支援も充実しているように思えます。そうなれば、「育児休暇はキャリアを邪魔しない!」と思ってしまいませんか? わたしも、「そんなに多くの人が育児休暇がとれるのなら、キャリアにも影響しないだろう」と考えていました。

ですが、やはり仕事という視点で見れば、必ずしも積極的に理解してもらえるわけではないようです。仕事仲間が育児休暇を取ることについて、女性の同僚、男性の同僚、直接の上司、人事担当者がどう評価するかの統計があります。

濃い色は「育休をポジティブに受け取る」、薄い色は「育休をネガティブに受け取る」という意味です。赤は女性の育休、青は男性の育休についてです。

仕事仲間が育児休暇を取ることについての評価DIE WELT

女性の同僚の95%が、母親となった同僚が育児休暇をとることを、ポジティブに受け取っています。5%がネガティブに受け取っています。父親になった同僚の育児休暇については、93%の女性の同僚がポジティブ、7%がネガティブに評価していることになります。

多くの女性の同僚が、母親父親に関係なく育児休暇をポジティブに評価しているのは、自分も取得する可能性があるからでしょう。男性の同僚は女性の同僚に比べ理解度が低いものの、8割以上の人がポジティブに受け取っています。

このグラフで注目すべき点がふたつあります。

まず、ドイツだからといって100人が100人、育児休暇を理解するわけではありません。もちろん、どの人も、それは権利であり、認めなくてはいけないことを知っているでしょう。ですが、特に直接の上司はやはりあまり良くは思わないようです。女性に対しては31%、男性に対しては36%の上司がネガティブに受け取っています。

たしかに上司からすれば、いくら権利だからといっていきなり抜けられたら困りますよね。戻ってくる前提であるから特にそうだと思います。

直接の上司がそのように考えるわけですから、ドイツだから育児休暇取得はキャリアに傷がつかないかといわれれば、なかなかそうともいえません。

そしてもうひとつ注目すべきが、男性の育休への理解度です。

日本では、男性が育児休暇を取得するのは2%程度。「ほとんどない」といえるでしょう。女性の育休については、権利であるということが認められ始めていますが、男性となるとなかなか取得が現実的ではありません。

ではドイツはどうかというと、女性の育児休暇と男性の育児休暇の理解度の差が、あまり広くないんです。グラフを見ていくと、男女の差は上から2%、4%、5%、7%となっています。思ったより意識のちがいがないようです。日本だともっと差があるんじゃないでしょうか。

すべての人がポジティブにとらえているわけではないにしろ、男性の育児休暇もとりやすい雰囲気なのではないでしょうか。

義務と権利の葛藤

統計を見てみると、日本よりドイツでの方が、育児休暇への理解が進んでいることがわかります。とはいえ本音と建前があるのはどの国でも同じようです。

育児休暇の取得は、労働者に認められた権利です。その権利を保障することが、企業側の義務となります。ですが、入社直後の妊娠や、期待していた部下の不在……など、育児休暇を認めるということは、企業側が常に予想のできないリスクを背負うことになります。気持ち的に理解できても立場上困る、という人は多いでしょう。それはどの国も変わらないようです。

ですが日本よりも理解が進んでいるのは事実。わたしも20代半ばになる世代なので、そろそろ家庭を作ることも考えはじめます。仕事と家庭の両立ができる世の中になってほしいですね。

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この記事へのコメント 8

  • Tomorich のプロフィール写真 Tomorich より:

    確かにうちの旦那も、ドイツでも育児休暇取る人を冷たい目で見る人は結構いると言ってたなー

    それでもちゃんと権利として取得できるのがドイツ、世間体を気にして休めないのが日本。

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  •  のプロフィール写真 okoni より:

    これから子供を産み育てる可能性がある世代にとっては、育休制度を利用していざ職場に戻った時に、果たして周りの理解が本当に得られているのかという不安しかありません。本音と建て前はどこの国にもある、ということには同意ですが、こと日本の社会で、浸透していない制度を使用した際に周りからどう思われるのかという恐怖はどうしてもぬぐえません。

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  • あい。 のプロフィール写真 あい。 より:

    有給は取りやすくっても、実際には取りにくい現状があるんですね。子育て世代は、いつになっても大変みたいですね。

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  • yuki のプロフィール写真 yuki より:

    どの国でも子育てに関しての社会的な理解が難しいのが現状なのだなと感じました。

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  • kisetu-ju のプロフィール写真 kisetu-ju より:

    子育てに女性のがたくさん必要になりますが、パパでもできることがあるはずです。ドイツはパパの育児休暇が上昇していることからとても良心的であることが分かります。
    大変なこと、理解がなかなか得られなこともありますが、子育てに参加してもらえたら大変さもわかり良いと思います。

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  • s_msay0410 のプロフィール写真 s_msay0410 より:

    日本も父親の育児休暇を認めてほしいですよね。
    母親一人でずっと育児はなかなか大変です。

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  • かすたーど のプロフィール写真 かすたーど より:

    核家族化が進む中で、育児をする母親の孤立や精神的な負担はかなり大きくなっていると思います。子供を産めば周りの人が助けてくれる時代ではないので、時代の変化とともに制度や育休に対する考え方も変わっていくべき。

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  • iudex のプロフィール写真 iudex より:

    ドイツは確かに育休の環境は整ってるんやないかと思います。まぁ、職場の雰囲気とかで「今妊娠出来ない」とかあるけどねーーー

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雨宮 紫苑 のプロフィール写真
ドイツでジャーナリズムを学んでいます。ライターとして生計を立てるべく、目下奮闘中。ドイツ発のニュースや海外生活情報などをお届けしています。


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