ドイツの経済ニュースを読むための経済指標まとめ


DAX, ZEW, PMIやら、聞きなれない見慣れない言葉が出てきてどうもしても取っつきにくかったドイツの経済ニュース。。。

少しでもドイツ経済が身近になるように、ドイツの主な経済指標を解説しています。ぜひご覧ください!

Ifo景況感指数

ドイツのIfo景況感指数は、経済・社会調査・政策研究を行う民間の非営利の研究機関「ifo経済研究所」が行う調査。ドイツ国内の約1万社を対象に、経済状況の現況と6カ月後先行きをアンケート形式で調査する。

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消費者の経済活動が反映されやすい指数

Ifo景況感指数は、「IFO業況指数」とも呼ばれる。ifo経済研究所は第二次世界大戦直後、ミュンヘンに設立された。ドイツ国内では有名な公的シンクタンクで、調査項目は生産・在庫・受注・価格・雇用に分類。質問項目は全て3択で以下の通り。

現状の質問項目

  • 良い
  • 満足
  • 悪い

6カ月後の先行きの質問項目

  • 今より良くなる
  • 変わらない
  • 今より悪くなる

鉱工業生産との関連性が高く、ドイツ経済を占う代表的な経済指標として、国内外で高い注目を集めている。ifo景況感指数は、ユーロ相場に与える影響が大きい指標の一つだ。指数は2000年の平均を100とした季節調整値が公表されている。2015年11月の109.0から4月の106.6まで下降トレンドが続いている。

日本では短観に該当する指標

日本では日銀が行う短観(全国企業短期経済観測調査)が、ifo景況感指数と同じような内容だ。国内約1万社の企業を対象に、同様のアンケート調査を四半期ごとに実施。国内外に発信し、海外では「TANKAN」と名称で浸透している。

ドイツ株価指数(DAX)

ドイツは、日本に次ぐ世界第4位の経済大国とあって、株価に世界的な注目が集まっている。フランクフルト証券取引所の上場銘柄のうち、ドイツ企業の主要30銘柄を対象にした株価の動向をドイツ株価指数(DAX指数=ダックス)という。

ダックス指数はユーロ圏、世界の市場から注視されている

ドイツのダックス指数は、制度化した1987年12月31日の株価を基準値1,000として設定。「時価総額加重型指数」として算出している。数字が大きくなれば、景気が良いと判断される。2012年から2015年までの4年連続で、前年比増となっている。「時価総額加重型指数」は、資産運用の評価基準に適している。指数の算出方法は以下の通り。

  • 「主要30銘柄の時価総額の合計」÷「基準値1,000」

ダックス指数と同じように、日本では値動きが注目される指数として「TOPIX(東証株価指数)」がある。1968年(昭43)1月4日の東証市場第一部の全銘柄の時価総額を基準としている。

主要30銘柄は世界的なあの会社がずらり

ダックス指数を構成している銘柄を見ると、各分野で活躍する世界的な企業が集結している。全世界で注目されるメーカーばかりだ。

ダックス指数の主な構成銘柄

  • adidas(アディダス)=スポーツ用品
  • Bayer(バイエル)=化学・医薬品
  • Bayerische Motoren Werke(BMW)=自動車
  • Volkswagen(フォルクスワーゲン)=自動車
  • Deutsche Lufthansa(ルフトハンザ空港)=航空

ZEW景況感指数

ドイツの経済指標の中には、経済や金融の専門家の意見を集約したZEW景況感指数がある。民間の欧州経済研究センターが公表する月次指標だ。Ifo景況感指数とともに活用されている指標で、経済のトレンドを把握するのに優れている。

350人のスペシャリストによる「経済予報」

ZEW景況感指数には経済・金融のアナリスト、機関投資家、経済・金融の関係者など、幅広く専門家に現況や先行きを調査していく。その人数は350人にも上る。調査では6カ月後の経済状況を以下の3択で回答してもらう。

ZEW景況感指数回答

  • 良くなる
  • 変わらない
  • 悪くなる

「良くなる」の割合から「悪くなる」の割合を引いた数値が、ZEW景況感指数として発表される。指数は50を超えると、景気が良くなると判断される。

Ifo景況感指数は調査対象が約1万社の企業を対象にし、正確性に優れている利点があるが、ZEW景況感指数の方が1週間ほど早く発表される。速報性が重視される指標になる。

2015年5月以降は指数が50を下回っている

最近のZEW景況感指数を見ると、2015年4月の53.3を最後に2016年4月の発表時まで、50を下回っている。難民問題やユーロ圏全体などの経済事情の停滞なども要因に挙げられる。

日本において、似たような指標に景気動向指数がある。内閣府が発表する指標で、3カ月前の水準と比較して「改善(プラス)」「変化なし(横ばい)」「悪化(マイナス)」に分類。指数は50%を超えれば、景気が上向きと判断される。

ドイツの失業率

ドイツ経済は底堅く、安定期に入っている。それが顕著に表れているのが失業率の低下に見てとれる。1990年の東西ドイツ統合後、2005年の11.0%をピークに減少に転じており、2015年は4.63%になっている。

失業率が示すユーロ圏のドイツの「一人勝ち」

ドイツの失業率は、ドイツ連邦銀行が毎月発表する。定義は①15歳以上で就業していない者②少なくとも3カ月間、週に20時間以上の労働希望者③求職登者―となっている。2005年の失業率の増加は、労働条件などを改善する「ハルツ4法」の改革による。社会扶助受給者の失業登録が新たに義務付けられたため、前年比で500万人近くが増加した形になった。

ユーロ圏での失業率は、ドイツの「一人勝ち」が続く。工業生産力が高く、周辺諸国との経済連携にも長け、ユーロへの通貨統合後も輸出の増加に拍車がかかったのが理由だ。

2015年のユーロ圏の主な失業率

  • ギリシャ 25.00%
  • スペイン 22.08%
  • イタリア 11.89%
  • フランス 10.35%
  • 英国 5.38%

出典:IMF World Economic Outlook Databases

ドイツよりも低い失業率の諸国の問題

2015年の日本の失業率は3.37%で、欧米に比べてはるかに低い。日本はドイツよりも経済規模が大きい先進国である。ただし、国の借金などの財政状況の悪化、消費増税の影響で良好の景況感と思う人は少ない。

韓国も同じく3.64%だが、財閥中心の経済のため、貧富の差が激しく、経済的には苦しい状況だ。

ドイツのインフレ率

ドイツ国民にとって今なお、語り継がれる混乱の記憶がある。第一次世界大戦後に起きた「ハイパーインフレ」だ。物価の価値が驚異的な速度で上がり、貨幣価値が急速に下がる現象をいう。だからこそ、ドイツ経済にとって、インフレ率には過敏になる。

インフレ率は安定推移している

インフレは、経済活動において必ず起きる現象である。経済大国のドイツを中心にユーロ圏の経済活動が構成されるが、インフレ率は2%が目安。欧州中央銀行(ECB)は、公式には「インフレターゲット」を明かしていないが、物価の安定のために2%のインフレ率を目安にしている。

第一次世界大戦後、ドイツのハイパーインフレでは段ボール箱に詰めた紙幣で、パンを買っていたという事実もあるほど。1990年の東西ドイツ統一後、インフレ率の振れ幅は92年の5.05%が最高で、93年が4.48%と高水準だったが、これ以降は落ち着いている。2011~15年の5年間は2.48~0.14%内で推移している。

日本は逆に長期のデフレで経済が鈍化

日本はドイツと逆。よく「デフレスパイラル」という言葉を耳にする。物価の価値が下がり、貨幣価値が上がるデフレになる。少ないお金で物がたくさん買えるので、消費者にはメリットがあるが、企業にとって利益が減少する。このため、若者の新規雇用を控えるなど、失業率の増加などが問題になってくる。

ドイツの小売売上高

ドイツの小売売上高は、ドイツ連邦銀行が発表する経済指数。個人消費の動向を見る見本的な指標となる。先進国ではGDP(国内総生産)の6割以上を占めるのが個人消費だ。雇用統計にも影響を及ぼす重要な指標の一つになる。

消費者の経済活動が反映されやすい指数

ドイツをはじめとした小売売上高は、スーパーや飲食店など、経済活動の最前線ともいえる指数になる。消費者にとって、景況感を身近に捉えることができ、経済活動が反映されやすい指数だ。季節や天候などによって左右される側面もある。

ドイツ国内の状況を見ると、2015年9月から16年2月まで6カ月連続で、わずかながらも前月比増を続けてきた。しかし、3月には-1.1%の減少に転じている。総合的に見ると、16年1~3月は前年同月比で1.5%増となっている。

日本の小売・卸売とも低迷をしている

ドイツの小売売上高と似たような指標に、日本では経産省が発表する商業販売額がある。2016年3月は前年同月比で5.1%減(前月比1.5%減)となった。内訳を見ると、卸売業が同6.8%減(同3.6%減)、小売業が同1.1%減(同1.4%減)となっている。

ドイツの製造業受注

ドイツの製造業受注は、国内の製造業の動向を知ることができる重要な経済指標の一つ。特に工業王国のドイツにおいて、製造業受注の発表は、そのまま景気の状況にダイレクトにはね返る。さまざまな投資家も注目している経済指標だ。

景況感のバロメーターになっている

製造業が好景気に沸いていれば、購入する人が増えていることになる。活発な消費活動が展開され、ドイツ国内が好景気にあることがうかがえる。ドイツは工業国であり、製造業が経済活動の根幹を支えている。加えて、ユーロ圏のGDP(国内総生産)の30%がドイツとあって、欧州全体の経済の中枢ともいえる。

製造業受注の指標が好調なら、さまざまな経済的要素が上向く。一定の生産量が担保されれば、雇用が拡大して失業率の低下になる。正常な形の需要と供給が満たされ、インフレ率の安定化につながる。つまり、多岐にわたって経済の好循環が生まれるのだ。

2015年の製造業受注は鈍化傾向

実際の数値を見ていくと、景気の伸び率は遅いことが分かる。2015年は前月比を上回った月が5回。ドイツにとって、ユーロ圏全体の経済成長の鈍化もあり、輸出関連にも影響が出ている。

日本にはドイツと似たような指標に「機械受注」がある。内閣府の発表によると、2016年2月の製造業は前月比30.6%と低調。非製造業(船舶、電力を除く)は同10.2%増で底堅さを見せている。

ドイツ購買担当者景気指数(PMI)改定値

ドイツには日本と同じく、さまざまな経済指標がある。ドイツ購買担当者景気指数(PMI)改定値はよく目にする言葉で、景気の状況を示すバロメーターの一つ。その内容は、どのようなものなのか見ていく。

PMIは製造業とサービス業の生産意欲を数値化した指標

PMIは(Purchasing Managers’s Index)の略で、製造業とサービス業の購買担当者にアンケートを実施。工場では生産計画に伴う資材、燃料をどのぐらい調達しているのか調べる。サービス業では雇用の状況や売り上げ目標などをヒアリングし、数値化していく。

景気の上向きはPMIが50を超えることが目安になる。経済の重要な指標として捉えられ、特に株式市場ではこの数値に注目。2016年4月のドイツのPMIは35カ月連続の50超えとなる製造業(51.8)とサービス業(54.5)合わせた総合PMIは53.8で、ドイツ経済の底堅さを物語っている。

日本のPMIはドイツに比べて低水準で推移

日本での同様の指標は、日本経済新聞社が発表している日経PMIになる。2016年4月の数値は48.2と前月より0.9ポイント低下。熊本地震の影響もあるとみられている。しかし、地震以前の数値でも、ドイツより低水準だ。

経済成長が鈍化している中国の製造業PMI(政府発表値)は、同じく50.1で市場予想の50.3を下回っている。ユーロ圏の総合PMIは53.0で、ドイツ経済の強さを示している。

消費者物価指数(CPI)

消費者物価指数(CPI)はその名の通り、一般消費者が最も身近に感じる経済指標だ。ドイツのCPIは毎月上旬、連邦統計局が発表。消費者が物を買ったり、サービスを受けたりしたときの価格変動を前月比、前年比で数値化した指数をいう。

CPIに見るドイツをはじめとしたユーロ圏の経済動向

CPIはインフレ率を測る指標として、注目されている。このほかに景況感、消費動向を把握する重要な指標でもある。ユーロ圏では2%のインフレを目安にしている。ドイツはユーロ圏のGDP(国内総生産)の30%を占めるだけに、CPIの発表にはユーロ圏の注目を一気に集める形になる。CPIの基準数数値は2005年で100となっている。

ドイツのCPIは国全体の指数のほかに、以下の主要5州の結果も発表される。

  • バイエルン(ミュンヘン)
  • ヘッセン(ヴィ―スバーデン)
  • バーデン・ヴェルテンベルク(シュツットガルト)
  • ノルトライン・ウェストファーレン(デュッセルドルフ)
  • ザクセン(ドレスデン)

※()は州都

ドイツのCPIは緩やかな右肩上がりが特徴

CPIの数値によって、政策金利が変動する可能性がある。高ければ利下げ、低ければ利上げの可能性が高まり、欧州中央銀行(ECB)のかじ取りの目安になるとされる。

ドイツのCPIは緩やかな右肩上がりが特徴。日本は長らくのデフレ期(CPIが低くなる傾向)が続き、2013年から上昇に転じるなど、経済のトレンドがやや不安定だ。

この記事へのコメント 2

  • Zenn のプロフィール写真 Zenn より:

    これは分かりやすいです。FXをやっていれば日常的に目にするものですが、まとまって解説しているサイトはなかなかなくて、助かります。特にドイツと日本の場合を比較しているのがとても良いですね。

    2
  • Salzbrezel のプロフィール写真 Salzbrezel より:

    これは便利ですね。
    今まで読む気になれなかったニュースに少しは取っつきやすくなったかもしれないです。

    0

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