エッセン~炭鉱業で栄えたルール地方の中心都市~
世界遺産の炭鉱跡を持つルール地方の中心都市
ドイツ西部のノルトライン=ヴェストファーレン州に位置するエッセン。この一体は「ルール地方」と呼ばれ、かつて一大工業地帯だった地域でした。現在は、ヨーロッパ最大級の人口密集地域の中心地として人口約60万人を抱える大都市です。
鉄道、道路、水上交通が古くから整備され、近隣の大都市圏にも容易にアクセスできる便利な立地にあり、経済拠点ともなっています。大都市でありながら、市内には数多くの公園があり、付近には自然保護地や森林、湖もあって、国内で「最も緑が多い大都市」として数えられています。身近に余暇を楽しめる空間が整備された住みやすい街とも言えるでしょう。
かつてはルール工業地帯の中心地として発展した街
この街は、戦前からルール地方の中心都市として栄えました。
1811年にフリードリッヒ・クルップがこの街で製鉄業を始めます。当初は燃料に木炭が利用されていましたが、19世紀に入るとこの地方のルール川の沿岸の炭層が露出していたことから石炭が掘られるようになり、ツォルフェライン炭鉱をはじめ各地に炭鉱ができました。その石炭は主にコークスに加工され、それを燃料に高炉で製鉄が行われるようになり、製鉄所、鉄加工所も増えていきました。川をそのまま石炭や製品の輸送に利用できたことも利点となり、ルール地方はドイツの産業を牽引する一大工業地帯として発展していきます。
またこの街は、鉄鋼業の財閥として繁栄を極めたクルップ家の本拠地であったことから、ルール工業地帯の中心地となりました。クルップ社はその後、デュッセルドルフのティッセン社と1999年に合併し、ティッセン・クルップ社となって、現在もエッセンに本拠地を置く鉄鋼業のトップ企業です。

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