丸刈りにしたドイツの女性が問う「女性らしさ」

日本の男女格差(ジェンダーギャップ)は、世界ランキングで111位と残念な結果となりました。一方、ドイツは13位。世界でも男女格差が少ない国として認められました。そう聞くと、「ドイツは女性の権利と自由が保障されている」と思いますよね。ですが、必ずしもそうとは言えないようです。

ドイツに住んでいるとある女性が、女性らしさの象徴である髪の毛を剃り、丸坊主にしました。その理由と、まわりの反応を綴った記事が、注目を浴びています。

※カッコ内は筆者訳、引用元:ze.tt

丸刈りにした女性は「ヘン」なのか

ドイツ在住のカレンさんは、肩につくぐらいのブロンドヘアーという、「まさに理想の女性らしい髪型」をしている女性です。そして「伝統的な女性らしい見た目から解放される」ために、髪の毛を剃り、6ミリの丸坊主にしました。とても思い切った決断ですね。

カレンさんは、女性はこうあるべき、という社会的通念に反旗を翻すため、このような思い切った行動に出ました。彼女の髪を剃った友人は、カレンさんの坊主姿を「超カッコイイ」と言ったものの、他の人の反応はあまり好意的ではなかったようです。

カレンさんは髪を剃ったあと外出しました。そこで、男性から無視されたり、子どもにひそひそ話をされたと綴っています。その反応に対し、彼女は、「女が坊主にするのは、本当にそんなに変なことなの?」と疑問を呈しています。

割合で言えば、坊主の女性が珍しいことには違いありませんから、好奇の視線を浴びるのは仕方のないことかもしれません。ですが女性の坊主=珍しいと思うこと自体が、カレンさんの言う「女性とはこうあるべき」という押し付けともいえます。

また、以前ネットで知り合ったものの一度も会ったことがない男性が、「髪を剃ったの?」とわざわざ聞いてきたそうです。「そうだ」と答えると、「長い髪の方が似合っているよ」という返事がきました。カレンさんは、「聞いてもないのにどうもありがとう」と皮肉たっぷりにつづっています。

女性らしさを剃り落としてわかったこと

彼女は、「髪を剃ったことを後悔した」とも書いています。というのも、なんだかんだ言って彼女も女性らしい髪型を受け入れていて、そうでなくなったいま、自分自身を「女性らしくなく、醜い」と感じるようになったのです。

女性らしさの押し付けに違和感を感じたカレンさんは、女の命と言われる髪を剃りました。その結果、女性らしくいることの圧力から解放されるのかと思えば、逆に自分の女性としてのアイデンティティとのギャップに苦しむことになりました。

彼女の行動に対し、一部の本当に仲がいい男性の友人とフェミニストたちが、「自分の好きな外見をしていればいい」と言い、ほとんどの女性が好意的だったそうです。それに対し、多くの男性は、カレンさんの坊主姿をよくは言わなかったようです。彼女は、「こっちが聞いていないにも関わらず、男性が当然のように女性の外見を評価してくる間は、この髪型でいる」と締めくくっています。

※カッコ内引用終わり

社会が望む「女性らしさ」の圧力

このエッセイは、社会が期待する女性らしさについて考えさせられますね。わたしは腰まであるストレートの黒髪という、欧米の女性がイメージしやすいザ・アジア人の髪型をしています。でも「髪を染めてパーマをかけたらアジア人としてのアイデンティティが揺らぐか」と言われると、きっとそうはならないでしょう。

ですが、女性らしさの象徴と言われる髪を剃ってしまえば、カレンさんのように自己肯定感が低くなるかもしれません。男性が女性に期待するだけでなく、女性もその期待を、自覚のあるなしに関わらず、良くも悪くも受け入れているのです。カレンさんのように、女性らしさの押し付けに嫌気がさしていたとしても、まわりから期待される女性らしさに慣れてしまっている人が大半ではないでしょうか。

わたしは、「女らしくいろ」と言われれば「なんでだよ」と思いますが、「さらさらのロングヘアーの女性は魅力的だよね」と言われれば、「そうだね」と同意すると思います。これが、無意識に受け入れてる「社会的女性らしさ」の問題点です。この意識は女性のアイデンティティに深く根付いていて、男性は女性に当然のようにそれを期待し、女性もそれを受け入れているのが現実です。

ジェンダーギャップが世界111位の日本では、いまだに「女性らしさ」「男性らしさ」という自意識が強く、「女性はこうあるべき」「男性はこうあるべき」という考えが根付いています。カレンさんのように丸坊主にしている女性が歩いていれば、悪い意味で注目を浴びるかもしれません。ですが彼女の髪型は彼女のもの。他人がとやかく言うべきではありませんよね。

他人や自分自身に押し付けていた「女性らしさ」について、みなさんもぜひ一度、考えてみてください。

この記事へのコメント 16

  • 創聖 中川 のプロフィール写真 創聖 より:

    さすがに坊主にしている女性を見てしまうとびっくりするしなにか虐待でもされてるんじゃないだろうかと疑ってしまいます。でも女性だからロングヘアーじゃないといけないとかそういった固定概念はないです。僕はその人がしたいようにするのが一番いいと思っています。ボーイッシュな髪型の女性も増えているので坊主姿も次第に社会の中で将来見られてくるのかもしれないですね。

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  • まいける のプロフィール写真 まいける より:

    美しい女性は坊主頭でも美しいですね。西遊記の三蔵法師役、夏目雅子さんの坊主姿も美しかった。女性が自らを美しく見せたいと思うときにショートヘアよりもロングヘアの方が無難というのは確かです。でも女性はこうあるべきというようなジェンダーギャップは心情的にはずいぶん小さくなったように思います。社会的にも女性の経営者もどんどん増えていますし、建設業などでも女性の進出はずいぶん進んでいます。一方政治家はまだまだ女性が少ないですし、なによりメディアの世界特にテレビの世界で女性に対するジェンダーギャップが大きいように感じます。

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  • 女性が坊主だと違和感を感じるのはドイツでも同じなんでしょうか。

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  • Sine のプロフィール写真 Sine より:

    男らしさ、女らしさとは何を意味するのかもう一度考え直す必要があります。
    人間は、性別を選択して生まれることができません。
    生まれてきた性別を受け入れるしかないのですが、体と心の性が一致していないという性同一性障害というものがあります。
    しかし、日本では、あまりそれについて社会が受け入れられないようです。
    人権をテーマに考える時、権利や自由とはなんなのか、もっと真剣に考えるべきだと思います。
    日本は、まだ性差別が根付いていますので、それを完全に撤廃しなければなりません。
    単なる体の仕組みが違うだけですから。

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  • kisetu-ju のプロフィール写真 kisetu-ju より:

    女性がこうあるべき、男性がこうあるべきと言うこともは全くないと思います。きれいな人は何をやっても「様」(さま)になると思っています。きれいな人とは外見だけでなく心も純粋で正直な人のことです。人の見方はいろいろであり、丸坊主にした彼女が自分自身に問いかえた、”女性の姿”について後悔したこともあるようですが、男性の関係、お友達の関係についてどういう立場に自分が立っているのかよくわかったことでしょう。
    いつか髪の毛は伸びてきます。今回の冒険は彼女にとってよき経験になったことでしょう。後悔するも彼女の行動に拍手を送りたいと思います。

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  • あい。 のプロフィール写真 あい。 より:

    男性のロン毛も多いのに、女性の坊主に違和感を感じてしまうこそ。私たちが、偏った固定観念に縛られている証拠だと思います。
    そもそも、らしさとは?自分ではなく、他人が勝手に決めた価値観に基づくものです。
    他人の価値観に、縛られるのでなく。自分自身のらしさを主張していけたら、それが素敵な世の中と言えるのだと思います。

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  • 仮面サラリーマン のプロフィール写真 仮面サラリーマン より:

    理屈ではなく、せっかくの美しい髪を切るのはもったいないと思います。

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  • ゆうちゃん のプロフィール写真 ゆうちゃん より:

    確かに、外見を美しいとか可愛いとか若しくは女性らしいと感じる感覚は、どこから生まれてきたものなんだろうと思います。丸坊主にした彼女の行動力はすごいなと思うし、伸びてくる髪の毛でよかったなと思います。

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  • supipi のプロフィール写真 supipi より:

    ドイツの男性はハゲてる方が多いので、せっかく生えてるものを剃り落とされるのは悲しいのかもしれませんね・・・と男性側の切なさを考えてみる。

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  • hirokin888 のプロフィール写真 hirokin888 より:

    坊主も美しいとは思うが、髪は女性の命でもある。

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  • 羽月 のプロフィール写真 羽月 より:

    いつしか芸能人が坊主にしたときも「え?!」と衝撃受けた事を思い出しました。
    でも他の人がいうように「こうであるべきだ!」っていう決まりごともなく、女子力がすごく高い男性もいれば男っぽい女性だっていますし、そこに関しては別に不思議とは何とも思わないと考えるとちょっと不思議だなぁと思う。
    スポーツやっている女性でベリーショートヘアの人がいたのですが、ショートヘアがすごく似合う活発な女性でしたのでそれこそが「その人らさ」と呼べるもの(ロングヘアが想像出来ないな・・・と思うほどです・・・)だと思います。

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  • moleskine80 のプロフィール写真 moleskine80 より:

    見た目の情報で判断してしまうので人として仕方がないのでしょうか?
    そのあとの行動が考えさせられます。

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  • ルーナ のプロフィール写真 ルーナ より:

    う〜ん、似合う似合わないもあるしね。坊主頭は極端だったのでは?
    私はワンピースにロングヘアが好きだけど、パンツスーツにすっきりショートの女性もカッコ良く憧れます。男とか女ではなく、自分らしさにこだわれば良いのかな。

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  • Ayano Onozaki のプロフィール写真 Ayano Onozaki より:

    純粋にかっこいいなーと思います。後から後悔したといえども、思いを行動にできるところ、「ありのままでいい」という周囲の人どちらも本当に素敵です。

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  • 直人 東條 のプロフィール写真 直人 より:

    女性が坊主になるのはスポーツでは役に立つかもしれません。長い髪が邪魔するかもしれないので。

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  • iudex のプロフィール写真 iudex より:

    「女性らしさの押しつけが嫌」で坊主。彼女が坊主にした理由こそ「女性らしい」という概念に囚われてると思います。自分も坊主にした事があります。もちろん当時働いてた職場の上司に怒られました「お前は、ここの顔なんだから。お客様に変な印象を与える可能性があるという事を自覚しろ」と。(日本での職場がちょっと特殊な所だったのでそういったお咎めを受けました)でも、職場の取締役は気に入ってくれました(笑)自分も「男らしく」「女らしく」といった押しつけが大嫌いでした。でも、それに反抗してだから「坊主」にするとか、だから「男と同じ土台で勝負する」とか、実は、自分が一番その押しつけに固執してただけなんだと、今にして思います。 でも、坊主の時は、公衆のトイレに入りずらかったですし、LGTBの人だと思われたりもしましたが、男よりモテて気分は良かったです(笑)

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雨宮 紫苑 のプロフィール写真

ドイツでジャーナリズムを学んでいます。ライターとして生計を立てるべく、目下奮闘中。ドイツ発のニュースや海外生活情報などをお届けしています。



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