ハンブルク ~ハンザ同盟で栄えたドイツ最大の港湾商業都市~

ハンブルクの紋章
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ドイツ最大の港湾商業都市、ドイツ北部の経済の中心地は美しい水の都

ドイツ北部に位置する港湾商業都市ハンブルクは、市がまるごと州にもなっていて、正式名称は「自由ハンザ都市ハンブルク」です。ベルリンに次いで人口の多い、ドイツで2番目に大きい都市です。「ハンザ」は、加盟都市の貿易推進を目的としたヨーロッパの商業都市同盟で、12世紀に始まりました。

現在は毎年会議が開かれているものの、中世をしのぶ文化展示や催し物が開かれるだけのお祭りのような存在になっていますが、このハンザ同盟の本来の活動を近年まで続けたのが、リューベック、ハンブルク、ブレーメンの3都市でした。特にハンブルクとブレーメンは、街の正式名称に「自由ハンザ都市」の名を冠し、かつての同盟の名残を伝えています。

エルベ川が北海に通ずる河口から約100kmも上流に広がるこの街。上流に位置することは荒天のときにも荒波の被害を受けづらいことを意味し、特に12世紀頃から急速に交易の中心地、港湾商業都市として発展してきました。現在は、ドイツ国内では最大、EU内ではオランダのロッテルダムに次ぐ第2の規模の港湾都市です。

ハンブルク港https://commons.wikimedia.org

ハンブルガー・ハーフェン・ロジスティクスをはじめ大小約500の海運関係企業が並び、コンテナ貨物用の広大な施設も設置され、港には造船のためと船の修理用の大きなドックもあります。

コンテナ運送会社のハパクロイドは、19世紀にハンブルクの商人が出資して設立されたアメリカへの移民や貨物を輸送を営んでいた会社であったハンブルク・アメリカ・ライン(ハパク)と、ブレーメンの実業家らが設置したブレーメンとイギリス間の輸送を行う北ドイツ・ロイドが1970年に合併した会社です。合併後も、日本郵船や商船三井はじめ世界のコンテナ輸送会社と積極的にアライアンスを組み、東アジアとヨーロッパ間の海運による物流ルートを確立させました。2014年にはチリの海運大手CSAV社と合併し、この会社とハンブルク市政府が現在のメインオーナーとなっています。

ハパクロイドのコンテナ船https://commons.wikimedia.org

市内には、中小含む1800もの貿易会社が拠点を構え、鉄道とアウトバーンが整備されていて、港に揚げられた船の荷を直接中央ヨーロッパの諸都市に運べるルートが確立されています。このためドイツ最大の物流拠点ともなっています。

航空機のエアバス社は、この街に専用滑走路つき航空機製造工場を保有しています。またハンブルク空港にはルフトハンザ航空の整備会社ルフトハンザ・テクニック社があり、世界中の約570の航空会社の飛行機がここで整備されています。

また、スキンケア製品の有名ブランド「ニベア」のバイヤーズドルフ、高級万年筆ブランド「モンブラン」、通販のオットー・グループ、信用金庫のハンブルガー・シュパーカッセ、コメルツ銀行の本拠地はこの街です。

17世紀以降に発達した新聞業は、この街を商業中心地であるばかりでなく、情報メディアの中心地にも発展させました。新聞社のアクセル・シュプリンガー、ツァイト、雑誌社のシュピーゲル、シュテルンの本社もこの街にあります。

文化・芸術面ではメンデルスゾーン、ブラームスの生誕地としても知られ、またビートルズが世界的に有名になる前、下積み時代に活動していた街としても知られています。

何度も攻撃され破壊され打撃を受けて、それでも復興してきた街

6世紀にはすでに港湾都市として栄えていたこの街は、この頃にはバイキングの襲来をたびたび受けていました。12世紀後半にはデーン人やスラブ人からも襲撃されていましたが持ちこたえ、13世紀にはリューベックやブレーメンと同盟を結びました。

それまでに船舶航空の特許状、関税特権、経済特権を獲得し、さらに完全な自治を許され貨幣製造権も与えられてからは、ひとつの国並みの力を持ち、ハンザ同盟の一員として繁栄していきます。しかし16世紀には三十年戦争により商業と経済に大きな打撃を受けました。18世紀にアメリカと通商条約を結んで復興したかに見えましたが、その後ナポレオンにより街を占領されてしまいます。

1842年には大火災で市街地が被害を受け、1892年にはコレラの大流行で多数の死者が出ました。そして第二次世界大戦での大規模空襲による壊滅的な破壊・・・。それでもその都度、この街はしっかりと復興してきました。幾たびもの苦難に面しながら、これまでどこの州にも属さず、誰からも支配を受けることなく自由と独立を維持してきたことは、現在もハンブルクに住む人々の誇りとなっています。

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水の都ならではの美しい観光スポット

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この記事へのコメント 4

  • kimura12548 のプロフィール写真 kimura12548 より:

    旅行で1日だけですが訪れたことがあります。

    煉瓦倉庫は日本の小樽を彷彿させますが、ハンブルクの方が桁外れに大きいです。

    「ミニチュアミュージアム」はあまりの大盛況で一日中予約が一杯で入場出来なかったことを覚えています。
    リベンジで行きたいです。

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  • @udonNMB48 より:

    @Stratmajin ハンブルク ~ドイツ最大の港湾商業都市、ドイツ北部の経済の中心地は美しい水の都~ https://t.co/fxgjQKHZJK

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  • ルーナ のプロフィール写真 ルーナ より:

    お魚料理が美味しかったです!街並みも可愛かったな。また行きたいですね。

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  • iudex のプロフィール写真 iudex より:

    倉庫街はなかなかいい感じです!!
    ただレストランがない!!!あってもメッチャ高級店。ちなみに、若者のたまり場シャンツェンや朝市のフィッシュマーケットも楽しいですよ~

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Gnolly のプロフィール写真
秋田県出身。IT企業に約20年勤務。海外旅行好きが高じ、ニューヨークへ単身留学した経験で人生観が変わる。退職後は「自分が本当にやりたかったこと」と向き合い、次なる夢を実現すべく、自身のライターとしての可能性を模索中。幅広いジャンルの記事に取り組んでいる。


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