切磋琢磨かライバル視か。車をめぐる日本とドイツの関係とは?
ドイツといえば、やっぱりドイツ車の存在を抜きには語れない。ポルシェをはじめ、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディの御三家は世界を席巻。一方の日本も世界のトヨタ、日産、ホンダなど世界一の自動車生産メーカーを擁する。日独の車をめぐる関係とはいかに…。
ドイツの基幹産業としての車へのプライド
自動車産業は、ドイツの基幹産業になる。国内では被雇用者7人に1人、さらに輸出の約40%が自動車関連で占める。自動車の聖地ともいうべきシュツットガルトは、ドイツ南西部に位置する人口60万人弱の中堅都市。車発祥の地ともいわれ、ダイムラー(メルセデスなど)とポルシェの本社所在地でもある。ドイツ経済は車によって支えられているのがよくわかる。
2015年国別自動車生産台数トップ5
出典:OICA
2015年メーカー別自動車販売台数トップ5
出典:statista
2015年のメーカー別自動車生産台数のランキングでは、トヨタが4年連続世界一になった。フォルクスワーゲンは、同年上半期にトヨタを追い越す勢いだったが、排ガスデータ不正の発覚で失速。トヨタの牙城を崩すことはできなかった。それでも、基本的には日本VSドイツの車の戦いであることに変わらない。
自動車生産台数は国別で見ると、中国が圧倒しているように見える。しかし、日本、米国、ドイツなどのメーカーが人件費の安い中国に工場を造り、生産しているためだ。このため、中国は他国のメーカーで生産した車を生産台数としてカウントしている。
ドイツの日本車、日本のドイツ車の絶妙な間合いとは
ドイツは日本と激しい車競争を続けている。とはいえ、日本車は輸入車の中で9.2%という最大のシェアがある。実際にドイツ国内でも多くの日本車を見かける。部品にも同じことがいえ、フォルクスワーゲン、ポルシェ、アウディの変速機は、日本のアイシンAW製を使用している。技術大国のドイツだからこそ、日本の高品質な工業製品を見抜く眼力があるといえよう。
2015年ドイツの日本車登録台数
日本は世界トップのメーカー・トヨタを擁しており、自動車先進国。なので、輸入車の販売比率は5~6%ほどだ。欧米では30%超にまではね上がる。数少ない輸入車の割合の中で、ドイツ車が実に約75%を占める。日本並みの品質や性能があるから支持されているのだ。残りの40%を米国、フランス、スウェーデン、イタリアの各車が競っている現状だ。
外国メーカーモデル別新車登録台数順位
出典:日本自動車輸入組合
日独ともに車の本質を認め合っているという結果
ドイツも日本も車の技術力に関しては、絶対的な自信と誇りを持っている。世界が認めているのも周知の通りだ。日本は輸入車のシェアが5~6%と少ないが、約75%がドイツ車で占められる。一方のドイツも、輸入車として最大の9.2%が日本車だ。
ドイツでの日本車の立ち位置は、リーズナブルで高性能な大衆車的な要素が強い。日本におけるドイツ車は、フォルクスワーゲン・ゴルフのような大衆車から、メルセデス・ベンツなどの高級車路線までニーズのレンジが広い。互いの領域を尊重しながらも、車の発展に意気込む姿勢は同じだ。
日本車は、装備とコストパフォーマンスではあきらかにドイツ車よりもすぐれているでしょう。一方で車としての基本性能というか、実際に乗ってみるとあきらかに違っています。大衆車のゴルフであっっても、たかだか1.2l のエンジンで国産の2lエンジンよりもあきらかに力があります。ゴルフのコーナリング性能はレクサスレベルで、トヨタの同一価格帯とはあきらかに違います。こんな違いが、ドイツでは日本車が大衆車として扱われる所以でしょう。実施、ここ何年かは日本市場でドイツ車のプレゼンスが上がってきています。トヨタは世界一だなんてふんぞり返っているとお膝元の日本でボリュームゾーンをドイツ車に持って行かれることになるかもしれません。