こんなに違う!ドイツと日本の労働環境

工業大国、最先端テクノロジー、クラフトマンシップ…。こんなワードでくくるとするなら、思い浮かぶのは、あの国々しかない。ドイツと日本。生産性と合理性を融合させ、欧州をけん引するドイツに対し、日本は戦後の猛烈な労働チャージによって経済大国となった。産業構造が似ている両国だが、労働環境は対局に位置する。ドイツと日本の労働環境を比較してみた。

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労働時間が浮き彫りになる両国

ドイツには、日本の経済成長の原動力となった「企業戦士」や「モーレツ社員」は少ない。日本は身を粉にして、心身とも会社に捧げる労働スタイル。今でこそ、労働関連の法整備が進み、徐々に変わりつつあるが、根底は変わらない。それが、労働時間に顕著に表れているのだ。

1人当たりの平均年間総実労働時間(2014年)は、ドイツが先進7ヶ国のG7で最も少ない1371時間。日本は1729時間で、最も多いのが米国の1789時間となっている。単純計算すると、日本はドイツより年間で1カ月半以上(1日平均8時間労働)多く働いていることになる。

労働時間が短い背景にあるもの

ドイツの労働時間は、連邦政府によって厳しくチェックされている。労働時間は1日8時間までで、最長で10時間が限度。6ヶ月平均で1日平均8時間を超えることが許されない。10時間労働をした場合、必ず6時間労働の日がある。監督する労働安全局が頻繁に調査をしており、違反があった場合、経営者が最高で禁固1年や最高で日本円で200万円相当の罰金刑になる。

日本はかつて年間2000時間超の労働時間だったが、1988年の改正労働基準の適用以降、徐々に減少。さらに、経済情勢の悪化によって、「時短」が取り入れられたことも背景にある。ドイツの労働安全局に相当する労働基準監督署は、労働災害などの係争に発展するケースの監視・摘発が主で、労働時間の監督業務は形骸化しているのが実情だ。

有給休暇の取得にも大きな影響が出ている。ドイツは法律で年間24日以上の有給休暇が義務付けられ、ほとんどの会社が30日としている。日本では20日(勤続6.5年)となっている。違いは日数ではなく、有給消化率だ。ドイツのほぼ100%に対し、日本は60%で世界ワースト2位(2015年エクスペディア調べ)だ。

日本より働かなくても生産性は上のドイツ

ここでふと、疑問に思う。なぜ、労働時間が短いのに、ドイツは欧州のリーダー国であって、経済大国なのだろうか。それは、生産性の高さが全てを物語っている。生産性を簡単に表すと、国民1人当たりのGDP(国内総生産)になる。ドイツが短時間で効率的な成果を挙げている一方、日本は仕事の効率性が悪いということになる。

ドイツの生産性が高い理由は、仕事のスタイルにある。効率化のため、社員一人ひとりに与えられる裁量が大きい。日本流の「上司」→「そのうえの上司」→「役員」による頻繁な報告や決済が少なく、担当が即決できるシステムだ。仕事の情報も共有化し、同僚と円滑にサポート体制を構築できる。もちろん、年間で150日ほど休暇があるのでリフレッシュできることも要因だ。

労働環境における諸問題

ドイツの失業率は2005年までは10%超だったが、2002~2006年にかけて「ハルツ4法」が制定され、雇用の支援策が強化された。失業者に対する手厚い保障制度から、再雇用への転換に政策の軸足を置き、失業率が低下。しかし、ワーキングプアに当たる層が増え、所得格差が拡大している。

日本では90年代にバブル経済がはじけ、旧都市銀行や証券会社などの破たんも続出。2001年には失業率5.4%にまでなったが、徐々に回復した。ドイツに比べ、終身雇用制や社会保障制度など、基礎体力がある分、ここ数年は3%台中盤で推移。主要国の中では、最低レベルの数字を堅持している。

ドイツと日本の労働環境を比較すると、一番驚くのはストライキのニュース報道だ。テレビや新聞が大展開の報道合戦を繰り広げ、大小のスト情報が報道される。鉄道や空港が年に複数回、数日間に渡って閉鎖される。連鎖反応的に教員、食品、工場など集中してストが発生する。

ファー・ディー(Ver.di=組合員214万人)という労働組合は、ドイツ国内のサービス産業を束ねている。鉄道やバス、航空業界をはじめ、幼稚園や福祉施設などもカバー。大がかりな労使交渉に入ると、日常生活に影響が出るため、注目されるわけだ。日本の場合、積極的に労使間で妥協点を探り合うため、せいぜい時限ストが数年に一度、あるかないかだ。

女性の社会進出における両国の差

国際労働機関(ILO)の2014年の調査結果によると、女性の社会進出で日本は108の国・地域で96位、ドイツが28.6%の16位。両国でかなりの開きがある。欧州全体では、企業の女性役員を増やそうという機運になっており、ドイツでも法制化された動きが目立つ。

2012年にハンブルク、ブランデンブルク両州が提出した「クオータ制導入法案」が連邦参議院で可決された。対象は上場企業を中心とした108社の取締役と監査役に就く女性の割合を増加させようというもの。2018年から最低20%、2023年から同じく40%以上が義務付けられる。

日本政府は2020年までに、女性の管理職を30%に引き上げる目標を掲げている。しかし、専門家の間では、否定的な見解もある。女性の場合、結婚・出産のため、社会から離脱するケースが多いからだ。ドイツなどの諸外国と違い、日本では女性が長期雇用のための内部昇進制度が整っておらず、共働き世帯には負担の大きい税制、社会保険があるからだ。

この記事へのコメント 8

  • まいける のプロフィール写真 まいける より:

    ドイツだけでなく、欧米諸国と比較して日本の労働生産性の低さは常に指摘されています。いろいろな議論はありますが、基本的に日本の企業は階層が多すぎるのが生産性が低い原因と考えられます。つまり中間管理職が多すぎると言うことです。中間管理職は、現業とほぼ同時間勤務しますが、基本的には何も生み出さないコストだけの存在です。このコストだけの存在が多すぎるということが生産性の低さの大きな要因です。

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  • kisetu-ju のプロフィール写真 kisetu-ju より:

    グラフを見ると非常にわかりやすいですが、よく働く日本人。効率が悪いということがわかります。製造業の大手の会社や本社はフレックスタイム制などで働きやすい職場があると思いますがまだまだそれ以外のところは過労死がでるほど働いています。また60歳や70歳の人がシルバーとして働いています。なぜでしょう?働きやすい職場としてドイツ方式を国として取り入れるところがあってもよいと思います。サービス業や医療関係の職場についてドイツの状況を調べてみたいですね。

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  • Sine のプロフィール写真 Sine より:

    これを見ると、日本における労働者一人一人あたりの仕事に対する責任より、ドイツにおける労働者一人一人あたりの仕事に対する責任の方がずっと重いように受け止められる。つまり、社員一人一人がドイツの場合、独断で仕事ができるということだろう。日本人はドイツ人と違って、部下が上司に頼り、自分一人で最後まで責任を持って仕事をするということではないということですな。日本の場合、仕事をたらい回しにするところがあって、それが国民一人当たりの生産能力を落としているということにつながる。

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  • 日本の労働生産性の低さは常に指摘されています。長時間労働は工場などの製造業では有効ですがそれ以外の仕事では寝不足、ストレスにより効率が低下します。企業、政府共に見直しはかるべきです。

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  • miz のプロフィール写真 miz より:

    こうしてみると、日本とドイツの1人当たりのGDPの差は結構あるんですね。
    しかも有給消化率と有給期間が日本よりも多いとは。。。
    ドイツの働き方の仕組みにさらに興味が湧きました!

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  • シルバー のプロフィール写真 シルバー より:

    ドイツ及び欧米諸国と日本の労働時間、失業率を見ても日本は働きすぎだと感じました。そのせいでかわからないが失業率も高い。日本の仕事の質と欧米諸国の仕事の質はたぶん欧米諸国の方が高い気がする。また、やりがいのある仕事や収入に関しても日本はまだまだ見直す必要があると思いました。これからの日本はどうなるのかが心配である

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  • コッペパン のプロフィール写真 コッペパン より:

    かつて共に戦った仲間なだけに日本も見習うべき。

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  • 羽月 のプロフィール写真 羽月 より:

    ドイツ生産性非常にいい割に残業が少ない(日本のような環境のせいか?)というのは結果オーライという言葉にはなるが、良いと思う。

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