ドイツの政治教育が本気すぎて日本に絶望する

スポンサーリンク

学校が積極的に介入する政治教育

日本の政治教育はとても消極的です。「教師が生徒を扇動してはならない」という原則がマイナスに作用しているからでしょう。ですが、ドイツでは積極的に学校が政治教育に介入しています。考えてみれば、教育なのだから、学校が介入するのは当たり前ですね。

というわけで、実践的な政治教育として学校が主導している制度の2つの例をあげます。

ひとつめは、政党とのマッチングサイトです。

まずWahl-O-Matは、オランダのStemWijzer(ステムヴァイザー)をもとに連邦政治教育センターが開発したウェブ上のボートマッチである。その時々の選挙の争点に関する30項目程度の質問にイエス・ノー(あるいは中立)という選択肢が用意され、順に答えていくと、最後に自分と各政党との意見の一致度が表示されるというプログラムであり、特にインターネット利用時間の長い若者世代に対して、ゲーム感覚で政治への関心-ひいては投票率を高める効果が期待されている。

日本でも、「投票ぴったん」や「えらぼーと」のようなボートマッチが注目を集めているが、このドイツの例は、有力メディア各社が積極的に宣伝することにより、日本とは比べ物にならない利用度を誇り(2002年の連邦議会選挙の際には360万件、2005年には510万件のアクセス)、すでに選挙には欠かせない存在となっている。(※引用元:学術の動向 2009.10)

日本の学校では、「特定の政党の支援を誘導する」とか言って規制されそうですね。ですが正直、どの党がどんな党なのかわからなければ、理解や応援、ましてや選挙なんて考えられないでしょう。

一致度であれば、ただの客観的数値なので扇動ほどの影響力はないでしょう。生徒からすれば、「考え方が似てるなら、応援できるかも」と思いやすいはず。このサイトを元に、政治、特定の党に興味を持つ子どもも多いのではないでしょうか。

ふたつめは、未成年たちのために行われるジュニア選挙です。

未成年模擬選挙についても、日本に同様の活 動が存在しているが、ジュニア選挙が日本の例と異なるのは、その規模(2002年の連邦議会選挙の際に8万人、これまでに計43万人が経験しており、2009年9月の連邦議会選挙では約10万人が参加)もさることながら、模擬投票の前に3~4週間にわたって必ず事前授業が学校で行われることである。

つまり第7学年以上18歳未満の生徒を対象とするジュニア選挙は、学校・教室単位で参加することと決められており、個人参加は認められていない。そして事前授業では、多くの場合、それぞれの選挙のために特別に用意された教材が使用される。一連の授業の最後に実施される模擬投票は、あくまでも学習のための動機づけと考えられており、授業における学習こそが、この教育プログラムの本当の目的なのである。(※引用元:学術の動向 2009.10)

日本も同じような活動があったのか……。まったく知りませんでした。その程度の認知度ということですね。ドイツではこのジュニア選挙のために授業するということですから、力の入れようがまったくちがいます。

もちろんジュニア選挙のためにはかなりの費用がかかります。毎回教材を用意して、投票のシステム整えて……と大作業です。ですがドイツでは、「これは必要なこと」だとして、予算が下りています。すごいですね。

学校の本気度が政治の理解度だ

ドイツを見ればおわかりになると思いますが、政治教育に対して学校が本気ですよね。生徒が政治を理解できるように教師は努力し、国は整備する。本来あるべき教育の形です。

想像してみてください。学校で教師が、「憲法第9条を学ぶために、自衛隊の意義を考えましょう」と生徒に存分に議論させる。多くの生徒が、たとえば「集団自衛は認めない」と考えた時、教師が「それで国際社会から孤立したらどうする?」とちがう視点を与える。そしてどの政党が自分の考えに似ているかをテストし、ジュニア選挙で選挙の仕組みを学ぶ。

……ここまでされたら、政治に興味を持たない、という人は少ないでしょう。政治を身近に感じるための工夫が、随所でなされています。

さて、ドイツの政治教育は本気ですが、日本はどうでしょうか。腑抜け、というと言いすぎかもしれませんが、国が本気を出していないのは事実です。議論を避けている限り、子どもたちが政治に興味を持つとは思えません。

文化や歴史がちがうドイツを真似すればうまくいくか、といわれればそうではありません。ですが、日本で取り入れられることはどんどん取り入れればいいでしょう。それに金や時間がかかるのは当然ですが、将来国を背負う子どもたちに費やすのであれば、高いものではないはず。ジュニア選挙だって、やろうと思えばもっと大々的にできますよね。

ドイツが、努力と工夫によって社会的に浸透させた政治教育。日本はまだその足元にも及びません。いきなりすべてを変えて、というのはむずかしいでしょう。ですが政治教育は、国の運営にとってはなくてはならいもの。これから改善されていくことを願います。

1 2 3

この記事へのコメント 4

  • Samurai Tiger のプロフィール写真 Samurai Tiger より:

    日本の政治教育、、、遅れているというか、ほぼやってないに等しい。
    経済もある程度安定してて、ほぼ単一民族で構成されてて、島国で他国から難民が流れてくるようなこともないから、みんな平和ボケしてて政治に無関心でいられるのだと思う。

    年に100万人も難民がやってきて、生活環境がガラッと変わるドイツじゃそうも行かない。政治に関心を持たせるには、国民が政治に必要性を感じる段階まで来ないと難しい。

    政治教育なんて、日本ではまだまだ先の話だろう。政治の本質からズレた政治家叩きや、芸能人のゴシップのほうがよっぽど重要。

    5
  • まいける のプロフィール写真 まいける より:

    ドイツは、過去に国民の政治的無関心がナチスを生んだとの反省が、こういった政治教育に反映しているのでしょう。日本では、日本を戦争に向かわせた人々がなんとなく生き延びていて、徹底した評価や反省をしないで来ています。その結果なんとなく戦争に向かった日本を肯定するような雰囲気を醸成仕様としています。とても危険なにおいがするし、そういった事がアジア諸国から警戒される要因になっています。このごまかし体質から脱却しないといつかまた日本は戦争の引き金を引いてしまうのではないかとおそれます。

    3
  • あい。 のプロフィール写真 あい。 より:

    日本は、やはり水と平和が無料で当然、と思っている国なのです。
    おっとりしているのと、ボケているのとは違います。
    もちろん、不必要に危機感を煽る必要は、ないですが。
    でも、これから若者の投票権が、数字を左右出来るように、なったことで。
    日本の政治教育が、よい方向に向かうことを願います。

    3
  • Zenn のプロフィール写真 Zenn より:

    「ジュニア選挙」いいですね。日本でも18歳からの選挙権になったのだから、その前の練習としてやればいいですね。未来を担うのは彼らなんですから。もしその結果が報道されるようになると面白いことになるような気がします。

    1

感想・意見をみんなと共有しよう!!

雨宮 紫苑 のプロフィール写真
ドイツでジャーナリズムを学んでいます。ライターとして生計を立てるべく、目下奮闘中。ドイツ発のニュースや海外生活情報などをお届けしています。


関連記事

このページの先頭へ

Social Media Auto Publish Powered By : XYZScripts.com
ツールバーへスキップ