ヨーロッパ最大のソフトウェア企業・ドイツのSAPの製品展開をチェック
ソフトウェアをけん引するドイツSAPの歴史を紐解く
SAPは、ドイツ中西部にある都市・ヴァルドルフに本社を置くソフトウェア会社のことで、今ではヨーロッパの中でもソフトウェア業界最大規模と言われています。
SAPの設立されたのは、1972年のことです。IBMのドイツ法人で勤務していた5人のエンジニアによって創業されました。
設立当時はSAPという名称ではなく、Systemanalyse und Programmentwicklungという社名で設立されました。
これはドイツ語で「システム分析とプログラム開発」という意味があります。
この名称は後にSysteme, Anwendungen und Produkte in der Datenverarbeitungへと変わり、SAPと呼ばれるようになりました。
それぞれドイツ語で、SystemsとApplications、Productsという意味合いがあります。2005年以降は、SAPやSAPGと呼ばれるのが一般的になりました。
SAPは世界中に支社を展開していて、日本にももちろん拠点があります。SAPジャパンが日本法人となります。1992年に設立されました。
当初はSAP100%出資の法人として、SAPの展開していたSAP R/3の日本語バージョンをベースにして日本のマーケットにおける営業活動を主力に展開していました。
イノベーションのバックアップをするためにSAPオリジナルの理論に基づきサービスの提供を実施しています。
一方でインメモリやモバイル、クラウドといった現代の技術を駆使することで効率的にイノベーションを進められるような環境の整備を進めています。
SAPの商品の販売を推し進めていて、2002年にはSAP製品の国内で導入している企業の数が1000社を突破しました。
2004年には、SAP NetWeaverという製品が国内で100社以上の企業で導入されるようになり、SAP製品の普及に一役も二役も買っています。
ドイツのSAPですが、21世紀に入ってから関連する企業の買収を進め、そのネットワークをさらに広げています。
2006年には、Virsa Systems社というコンプライアンスソリュションを主に手掛ける会社の買収を行いました。
2008年には、Business Objects社というビジネスインテリジェンスのソフトウェアベンダー会社の買収を完了しました。
2010年にはSybaseというリレーショナルデータベース管理システムやそれに関連した製品を取り扱っている会社との買収の合意を発表しています。
2011年には、SuccessFactorsというソフトウェアベンダーで、主にクラウドによる人事管理系の商品を提供している会社とも買収で合意するなど、事業の多角化をどんどん推し進めています。
SAPの手がけている事業は多種多様
アメリカのGartnerという所が2014年3月31日に発表したベンダー別の売上高ランキングを見てみると、SAPは世界中のソフトウェア会社の中でも4番目の数値を出しています。
2013年の売上高は185億ドルを記録しています。2012年の売上高が169億円でしたから、2012~2013年の1年間で9.5%もの売上高のアップとなりました。
ちなみにSAPよりも上のトップ3のベンダーですがMicrosoftとOracle、IBMと世界的に高い知名度のある会社が占めています。
トップのマイクロソフトが657億ドル、2~3位のOracleとIBMが両方とも290億ドル台の売上高です。
SAPの一つ下のSymantecの売上高が64億ドルですから、このトップ4の企業がマーケットの中ではずば抜けた存在になっています。
2007年度末時点のデータによると、全世界で5万人規模の従業員が勤務しているといいます。
またこちらは2015年時点のデータですが、SAPジャパンでも1100名もの従業員を抱えています。
SAPの強みは、エンタープライズソフトウェアのジャンルです。その中でも特に、大企業向けに関しては世界中のソフトウェア企業と比較して圧倒的に大きなシェアを占めています。
そしてビジネスアプリケーションに関連する商品が、主力といえます。特に世界中でその名の知られている商品に、SAP R/3があります。
Rはリアルタイムの頭文字、3はデータベースサーバとアプリケーションサーバ、クライアントという3層からなるアーキテクチャを意味しています。
企業の会計や物流、販売、人事システムを一元化することで、リアルタイムで経営状況の分析の行えるところがSAPの強みと言われています。
少し前まではSAPの製品同士であれば、システム間のデータの整合性を簡単に取れるようにし、他社との競争で優位になる経営戦略をとっていました。
しかしサービス志向アーキテクチャが流行し始めたころから、戦略の転換を図っています。
先ほど紹介したSAP NetWeaverはこのようなサービス志向アーキテクチャに対応しています。
このようなSOAにウェイトを置いた戦略は功を奏しつつあります。SAPのインストレーションは全世界に10万以上展開していて、クライアントは5万社弱に及ぶとされています。
ユーザーは世界120か国に1200万人以上いるといわれています。
現在情報通信分野で重視されている項目として、セキュリティ対策があります。
サーバ攻撃を受けることで、データの流出をすれば大きな損失を被る恐れがあります。
SAPジャパンでは、ISO/IEC 27001:2005とJIS Q 27001:2006と呼ばれる国際規格の認証を2005年に取得しています。
情報セキュリティマネージメントシステムを構築するためで、情報資産の機密性や可用性、完全性をクリアして、適切に取り扱うことのできるようなシステム構築を目指しています。
IBMのサードパーティーの会社(日本の)にいたころ、「SAP R/3」というERPソフトを知りました。日本では情報システム部門(情シスと略していた)が使うプラットフォームで、当時その会社自体はオーストラリアのLANSAという別の製品を売ってました。私自身は情シスとは全く違う部門だったので知りませんでしたが、やっぱりIBMから独立(Spin out / Spin off)した会社なんですね。