ドイツでビジネスを始めた人必見!ドイツで事業を行う際に注意すべきこと

平成24年時点で、ドイツに進出している日系企業は1446社にも上っており、製造業やエネルギー関連産業を筆頭に、ドイツにあふれているビジネスチャンスを日々掴もうと努力する日系企業が数多く存在している。

ドイツは法人税が日本の水準よりも低く抑えられていることもあり、アイデアと意欲、そして少しの勇気があれば起業を行ってドイツを主戦場にビジネスを展開したり、関連会社をドイツに起こしてドイツを起点にビジネスを国際展開させたりという選択肢は大変な可能性に満ちていると言えるだろう。

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日本人とドイツ人の似通っている部分

ドイツ人は勤勉で礼儀正しく、大変真面目な国民性を持っている。この点においては日本人のビジネスマンとの親和性も高く、もちろん関わる人にもよるが言葉の問題さえクリアできれば想像以上にドイツでビジネスを行うハードルは低いと言える。

第二次世界大戦後、ともに敗戦国として荒廃した土地から全てを再スタートさせた両国は、その勤勉さと真面目さ、そして驚くべき技術力で当初の予想を大幅に上回る勢いで復興を果たし、ともに世界をリードする存在として半世紀以上に渡って影響力を示し続けてきた。そういった歴史的経緯からも、ドイツ人と日本人はビジネスを行う上で波長が合う部分は多いのではないだろうか。

ドイツにおける法律的な部分で気をつけるべきこと

とはいえ、いくら親和性が高いと言ってもドイツはもちろん外国であることから、日本人がドイツでビジネスを行うにあたっては、言語や生活習慣といった基本的な部分以外にも数々の注意すべき点が存在する。特に法律の面は日本とは違う部分が多いので、注意しておきたいところだ。

まず、すでに日本で会社を持っており、ドイツで関連会社等を立ち上げてビジネスをする場合には、3つの方法が考えられる。一般的にはドイツに独立した法人格を持つ子会社を設立してビジネスを行う形式が選択されることが多いが、そのほかにも支社をドイツに立ちあげて、日本法人の一部として運用する形式や、駐在員事務所という形で小規模の事務所を立ち上げるという方法がある。

子会社設立のメリットとしては、株主の機能や法的責任をどの程度にするかによって、法人の形式を選択することが出来るという点が挙げられる。支社は本社と完全に連結した存在として機能するため法人形式の選択を行えないが、既存のビジネスパートナーとの関係保持などを狙った組織を立ち上げる際には支社形式が選ばれることも多い。

駐在員事務所とは、少人数の日本人(多くの場合は1人)と現地での雇用者数人による事務所であり、主に市場動向や顧客開拓に関する調査を行うことが出来る。注意しなければならないのは、駐在員事務所は本社からのドイツへの出張者に対してビジネスのアシストをすることは可能であるが、駐在員事務所単体での商取引は出来ないということである。あくまでも補助的なビジネスの手伝いを行うことが駐在員事務所の役割であるということを押さえておきたい。

これらの特徴を押さえたうえで現地法人を設立、あるいはドイツで起業をする際には、当然会社を設立する届け出を行うことになる。ドイツは全体の7割程度が有限会社であり、社員が1人であっても設立可能な有限会社がベターな選択肢だと言えるだろう。会社の設立届を出した後にも、日本と同じように営業届や税務署への届け出が必要になるので、これらの諸手続きに関しても忘れずに行っておくようにしたい。

ドイツでビジネスを行う場合に気をつけたい税制上の違い

ドイツでビジネスを行う場合に必ずチェックしておきたいのが、日本よりも恵まれている部分の多い税制に関する点である。

ドイツにおける法人税は、三段重ねの構造になっていることがポイントである。まずは通常の法人税が15%、加えて連帯付加税と呼ばれる税金が0.8%程度、そして、唯一地方税となる営業税が地方ごとに定められた税率の分かかるという構造になっている。営業税は13%前後に設定されているところが多く、これらを合わせるとドイツにおける法人税は平均して29%程度ということになる。

ドイツにおいてビジネスを行うメリットは、この税金の低さというところにもある。先ごろ、日本においても平成28年度からの法人税引き下げが決まったが、それでも日本の法人税は31%以上という水準である。ドイツにおいては平均して30%に満たない税率となっており、営業税が低い地域で会社を設立すれば法人税は20%台前半しかかからないようなところもあるのだ。

さらに、モノやサービスの取引に伴い発生する税である「売上税」に関しても、ドイツは低い水準を維持している。ドイツにおける2014年度の売上税率は19%であり、これはハンガリーの27%、イタリアの23%、オランダの21%などと比較しても低い。

これらの税率の低さもまた、ドイツでビジネスを行うにあたっては打ってつけの材料だと言えるだろう。EU圏でビジネスを行う際に、ドイツはぜひともファーストチョイスにしておきたい国なのだ。

ドイツで就労する場合に気をつけるべきこと

さて、ドイツでビジネスマンとして働くにあたって気をつけておきたいのが、就労に関する様々な法制だ。特にビザの問題に関しては、しっかりとした理解をしておくべきだと言えるだろう。

日本に限らずEU市民でない国の人々に対して、ドイツは何の手続きもない場合には最高90日までの滞在しか認めておらず、継続して就労するためには許可が必要である。ビザの申請の際には「就労許可のある定住許可」が必要であり、それ以外のビザ(シェンゲンビジネスビザ)だけでは長期滞在したうえでの就労は不法滞在などにあたることもあるので注意が必要だ。

ただし、まずは会社設立をするだけ、商業活動はするものの短期間で帰国する、などの場合にはシェンゲンビジネスビザのみがあれば特段問題にされることはない。このビザがあれば営業届や登記申請なども問題なく行うことが出来るので、すぐに継続して就労する場合でないときはこれだけでも十分である。

最後に、ドイツにおけるビジネスマナー・モラルについて、日本と違う部分をごく一部だけ紹介しておこう。日本では「沈黙は金」という言葉があるように、必要以上に声高に主張をすることが憚られるような側面があるが、ドイツでは自分の主張や意見はしっかりと言わなければならない。決定事項や確定事項はきちんと相手に伝え、場合によっては文書にして伝えなければ、その事項はそもそも最初からなかったものと同然に扱われてしまうこともあるので要注意だ。

また、文化的な側面から考えると日本以上に「形式主義」な側面が大きいところも特徴である。肩書や学歴、役職などで判断されることが、実はドイツでは意外に多いということが知られている。さらに規律や規則に関しても日本以上に厳格な部分があり、そういった部分からの解放を求めてビジネスをしようと思っている方にとってはいささか堅苦しいと感じる部分もあるだろう。

これらのドイツのマナーやモラル的な部分も理解したうえで、ビジネスチャンスを掴みに行くのであれば慎重すぎるほどに準備を重ねることが必要だろう。安易に外の可能性に飛びつくのではなく、ドイツでビジネスを行うという志があるのであればしっかりと腰を据えて取り組んでいただきたい。

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文蔵 一郎 のプロフィール写真
1989年北海道生まれ。北海学園大学法学部卒業後、官公庁に入庁し2年ほど実務を経験する。在職中に一念発起しフリーライターとして独立することを決意。退職後「元公務員ライター」として2016年から独立。大学時代から国際政治を専攻しており、幅広い見地と視野から国内外の政治経済の動向を見定められるよう奮闘している。


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