経済収支世界一!貿易で「稼ぐ力」を維持するドイツの国家戦略とは?
<h3ドイツの「稼ぐ力」を安定される統一通貨ユーロ
この様に典型的な加工貿易立国のドイツにとって、ユーロ導入はどのような影響をもたらしたのだろうか?改めて検証してみよう。
ユーロによって通貨切り上げが生じないカラクリ
我々が持っているイメージ通り、ドイツの製造業の競争力は今も昔もとても強い。そのためユーロ導入前から、たびたび欧州諸国との間に貿易摩擦を起こしてきた。そしてその様な摩擦が起きると通貨マルク(旧西ドイツ通貨)が切上げられてマルク高になってしまい、輸出量が減少するという現象を繰り返していた。
日本ではアメリカとの間で貿易摩擦が起きてしまい、為替市場で円高が進み過ぎて製造業界からの悲鳴が聞こえた事もあった。これと同じ事がドイツでも起きていたのだが、ユーロを導入した事によって為替変動による輸出入価格の変動が無くなってしまった。そのためドイツでは付加価値の高い工業製品を、とても輸出し易くなったのである。
ユーロ導入後にドイツのユーロ圏での貿易は順調に増え、今では輸出入共に欧州が全体の3分の2を占める。国別輸出では、フランス9.2%、アメリカ8.1%、オランダ6.5%、中国6.1%となり、国別輸入ではオランダ9.9%、中国8.2%、フランス7.1%、アメリカ5.4%の順になる。
ドイツと日本の貿易
そしてドイツは日本にとり欧州最大の、また日本はドイツにとって中国に次ぐアジア第二位の貿易相手国となっている。ドイツと日本の輸出額を対比したグラフを見てもらいたい(輸入額についても同様の傾向を示すので、ここでは割愛する)。

ドイツは2008年のリーマンショック以降も順調に貿易額を増やしている事がよくわかる。
また日本とドイツ間の貿易収支は以下のようになっている。2011年以降は日本の輸入額が増え、2014年では50億ドル以上の赤字になってしまっている。
ユーロと円の相場は2011年末99.6円、2014年末は144.8円となっているから、大幅な円安ユーロ高といえる。このように大幅な円安ユーロ高にも関わらず、日本からドイツへの輸出額は増えずに輸入額は増えているのである。この背景に関しての検証は長くなるので、別の機会に譲りたい。
確かに統一通貨ユーロで経済が安定していると思われる。しかしながらドイツにはたくさんの資源があり技術があると思います。自動車産業の他、鉱業や医療機器、電気において優れた技術や技能を持っている。すごいです。