十人に一人はベジタリアン?!ドイツの菜食事情

近年日本でも注目を浴び始めた「菜食」という考え方。既にドイツでは、新しいライフスタイルとして、菜食文化が広まっています。世界一ソーセージを食べる国ドイツで、一体何が起こっているのでしょうか?

年々増えるベジタリアン&ヴィーガン

一言に菜食と言ってもそのタイプは様々です。ざっくりと言うなれば、「ベジタリアン」と「ヴィーガン」という二つの名称で分けることができます。食事は野菜を中心とし、肉類は一切口にしないというのが一般的に思い浮かぶベジタリアンかと思います。

一方ヴィーガンは、牛乳やチーズは食べるベジタリアンとは違い、動物由来のものは一切口にしない人を指します。なので乳製品はもちろん、蜂蜜も使用しません。徹底したヴィーガンともなると、革製品なども動物由来とし生活には取り入れません。

さらに掘り下げるとカテゴリーは多岐にわたります。「肉は食べないけれど魚は食べる」「乳製品は食べるけれど卵は食べない」と、様々な思想に基づいていることがうかがえますね。

なぜ人は菜食になるのか

ベジタリアンにしろヴィーガンにしろ、その考え方は人によって違います。大きく分けると以下の四点。

  • 一)健康上の理由:体質改善やダイエットを目的とし、野菜中心の食生活を意識する人を指します。
  • 二)倫理的な理由:殺生を認めないため、動物由来のものを避けるといった考え方です。
  • 三)地球環境による理由:食肉産業に必要な穀物などを削減するという目的に基づきます。
  • 四)宗教上の理由:断食や戒律により、食事に制限がある場合を指します。

元々Bio商品(オーガニック)の人気が高いドイツでは、健康志向の象徴としても菜食文化が広がっています。スーパーにはベジタリアンマークのついた商品が並び、レストランのメニュー表にもベジタリアン用のエリアがあるほどです。

ベジタリアン&ヴィーガン商品は平均的に少し割高な価格設定となっているので、ドイツで菜食というと生活水準の高さを感じさせるものでもあるのです。階層差の激しいヨーロッパならではの現象といえるでしょう。

ドイツのネスレ研究所は、2006年以降ドイツ全域で菜食思考が目立って広まっている現状を伝えています。以上の点からも、近年のドイツでは先に述べた四つの理由とは別の、「ライフスタイルとしての菜食」が主流となりつつあります。

種類豊富な代用商品

肉を食べないだけのベジタリアンとは違い、徹底したヴィーガンともなると、日常生活で口にするものに限りが出てきます。

とはいえ菜食は決して偏食ではないので、栄養が偏るなどといったことはありません。人体にとって大切なタンパク源ともなる肉類を摂取しない代わりに、豆腐やひよこ豆、グルテンミートなどを多く食事に取り入れています。中でも大豆製品は人気が高く、ドイツでは枝豆や燻製豆腐などが好まれています。

またドイツでは、Fleischersatz(肉の代用)やFleischfrei(肉なし)と書かれた商品が充実。大豆から作られた挽き肉やソーセージ、植物性チーズなどが、菜食生活に多様性を生み出しています。こ

のような商品の充実に比例して、ドイツをはじめとするヨーロッパ内の菜食人が増加。前ネスレ最高責任者のヘルムート・マウハー氏はこれを受け、「菜食文化の動向はとどまることを知らない。百年以内に人類は肉を食べないようになるだろう。」と発言しています。

今後のドイツの食肉産業

今やライフスタイルの一つとして菜食が定着しているドイツ。その背景には、“pflanzlich leben“(植物性の生き方をする)という思想が生まれたという風潮があります。

ここには古くからあるドイツの狩猟の歴史と相反するものがあり、今後のドイツの食肉産業からは目が離せません。

ロバートコッホ研究所の発表によると、ドイツ国内で「自分は菜食だ。」と言っている人の多くが、十代後半~三十代前半に集中しているというデータが出ています。このことからも、時代の流れとして菜食が食文化を台頭する日は遠くないと言えるでしょう。

日本では主に魚ですが、「殺生したものをいただく」という感覚はドイツにもありました。農家では越冬に向け、一頭の豚からおよそ三か月分の家族の食糧(ハムやソーセージなど)を作り出し、子どもたちは屠殺の一部始終も見て育ったのです。「食べるという行為の前には殺生がある」という事実と向き合ってきたからこそ、食事やそれを作る人への感謝ができたのではないでしょうか。

産業として食肉が手に入りやすい今の時代は、一方では新しい思想を生み出し、他方では自国の伝統を脅かしつつあるのです。菜食は動物由来の物とは無縁な生き方とはいえ、実際のところでは切っても切れない関係にあるのでしょう。

菜食を単に「贅沢な時代の産物」と言ってしまえばそれまでです。しかし、そこには様々な思想や背景があることも知らなければなりません。

産業が多岐にわたり発展する中、ドイツが自国の伝統や本来の姿とどう向き合っていくか。菜食文化はドイツの新しい風潮と歴史に、一石を投じる存在となっていくでしょう。

この記事へのコメント 6

  • まいける のプロフィール写真 まいける より:

    ベジタリアンというのは、食生活が満ち足りている国にしかない贅沢です。

    1
  • ys.4869 のプロフィール写真 ys.4869 より:

    >まいける さん
    確かに。贅沢な時代の思想ともいえますね。

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  • kisetu-ju のプロフィール写真 kisetu-ju より:

    肉食であろうドイツが菜食になることはよいことだと思います。でもベジタリアン。
    偏りのある生活もどうかと思いますね。若さを維持するために年をとっても肉を食べることが良いと言う人もいますから。

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  • 直人 東條 のプロフィール写真 直人 より:

    野菜嫌いな人がドイツにいなくなってしまいそうです。

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  • あい。 のプロフィール写真 あい。 より:

    健康的なイメージもありますが、栄養が偏りそうなので。かえって、不健康にもなりかねないイメージもあります。
    過ぎたるは猶及ばざるがごとし、といった感じです。

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  • iudex のプロフィール写真 iudex より:

    知り合いのドイツ人にヴィーガンの方がいます。食べることを通り越して、コスメ・石けん・洗剤等も全部動物性脂肪を使わず、手作りという徹底振りです。ちなみに、自分のパートナーは出会った時はベジタリアンだったのに、今は肉食に戻りました。彼曰く「やっぱり俺は肉が好きだ。動物が可哀想と思ってベジタリアンになったけど、結局、俺が食わなくても、他の誰かが俺の分まで食べてるなら、俺の分は俺が食べる。」と。笑 
    時代の流れでもしかすると、また肉食に戻るベジタリアンが増えたりするかもしれませんね。

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