信用を失ったフォルクスワーゲン、打撃は深刻
車大国ドイツ。そんな中でもひときわ高い人気を誇るフォルクスワーゲンが今、窮地に陥っている。アメリカの排気ガス基準をクリアするために不正を行ったこのスキャンダルで、伝統があり不動の人気を誇っていたフォルクスワーゲンの地位は失墜した。
失墜したフォルクスワーゲン
スキャンダル発覚後の二ヶ月間で、車製品の市場は8.9パーセント成長したにもかかわらず、通行許可がおりたフォルクスワーゲンの新車はスキャンダル前から2パーセント減となった。10月の株価下落は4パーセントほどに落ち着いた者の、去年の販売台数と比べて現在は4分の1ほどにまで縮小した。
この状況に対応するために、13もの銀行がフォルクスワーゲンに融資を申し入れ、2億ユーロ(約260億円)の資金を元に火消しにかかっている。
ブランドは信用が命
なぜフォルクスワーゲンが「一流の車メーカー」なのか。その理由は簡単で、「信頼できるから」である。
勿論車のフォルム、頑丈性、燃費……。メーカーによって様々な違いがある。だが人々が高い金を出してフォルクスワーゲンの車を買うのは、いわば信用を買うためだ。ここの車なら壊れないだろう、壊れても直してくれるだろう、という「しっかりしているメーカー」という意識が購買意欲を促しているのである。
だが「環境を守るために設けられた規則に対して不正を働いた」という事実は、今まで培っていた信用が崩壊するほどの衝撃を持っている。
フォルクスワーゲン、復活は叶うのか
だが実際のところ、「それほど悪いことではない。どこもやっている」と思っているドイツ人も少なくないようだ。フォルクスワーゲンを信用しない、というよりも、「どうせ買うなら違うところでいいか」というなんとなくの意識でフォルクスワーゲンが避けられているように思われる。
車メーカーの競争は激しく、世界を相手に戦っている。消費者が「なんとなく」フォルクスワーゲンを避ける状態は、いち早く脱したいところだろう。今までの信用を取り戻すためには誠実な対応しかない。多くの銀行が助けの手を差し伸べているうちに、伝統あるフォルクスワーゲンが再び復活することは出来るのだろうか。
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