フォルクスワーゲンショックの爪痕は?ドイツ自動車産業の今
本当に厳しいのは今年からだ
ドイツにおいてフォルクスワーゲン社(以下VW社)による排ガス不正が明らかになってから、20167年6月で早くも9ヶ月が経つ。世間ではすっかり過去のこととなってしまった感のあるVW社の不正であるが、当事者であるVW社、ひいてはドイツ自動車産業全体にとってはまだまだ混乱と不安の日々が続いている。
実際、先日発表されたVW社の第1四半期決算報告の中でも、VW社は厳しい1年を過ごさなければならなくなるということが明記されている。スキャンダルのショックを立て直すことに尽力しているVW社だが、その混乱は少なくとも今後1年間は確実に続くものとなるのは言うまでもない。
数字上は危機を乗り越えたかに見えるが……
とはいえ、VW社グループ全体の第1四半期決算報告に刻まれた数字だけを見てみると、VW社が一連の不祥事によって受けたダメージは、一見それほど大きくなかったようにも見える。
2016年の第1四半期の決算において、総売上高に関しては前年の同じ時期と比べて3.4%の減少となっており、予想されていたよりもVW社の傷跡は小さいようにも見受けられる。さらに、営業利益に関して見ると前年から3.4%の増益となっており、困難な状況の中で営業利益が伸びていることは驚異的ともいえる。以下のとおり、2015年第1四半期からの総売上高の推移を見ても、VW社全体の売上高は不正発覚後もそれほど大きな影響を受けずに推移を続けていることがよくわかる。
しかし、この数字にはからくりがある。今回の決算はあくまでも、「グループ全体での決算」の結果であり、VWグループであるアウディ、セアトなどの業績も含まれている数字であることを忘れてはいけない。
アウディなどのVWグループで生産されている車は、VWブランドのイメージと遠かったこともあって、排ガス不正発覚以降もそれほど業績を下げずに済んでいる。今回の第1四半期決算は、これらの関連ブランドがけん引した数字に過ぎないものなのだ。
さらに、排ガス不正に関連した引当金での為替関連の調整にかかる特別項目のプラス効果も、今回の営業利益に含まれているため、VW社の営業利益は不正に負けず伸びているように見えるのである。
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さすがにドイツ自動車産業は強い。
この事件は自動車部品メーカーのBOSCHが作った試験用のプログラムを、VWが実車に搭載してしまったというもの。
日本では三菱自動車が似たような事件をおこしたが、こちらは日産に吸収されるらしい。
この不正の件については、むしろなぜVWがディーゼルを米国市場で拡販しようとしたのかという点が最大の疑問点です。米国市場はディーゼル車には厳しく、またメーカーもディーゼルを重要視していないから厳しい規制にもとくに大きな反論がでないのです。マツダも日本や欧州で好調なクリーンディーゼルを米国には展開しようとはしません。米国では排ガス規制をクリアしたとしても燃料も高いので、ディーゼル車の市場は小さいので、ディーゼルを市場展開しても大きなシェア獲得は困難です。そんな市場に、なぜ不正を犯してまでディーゼルを投入しようとしたのか。VWのマーケティングに最大の疑問があります。