VW排ガス問題の不祥事発覚から現在までの経緯。VWを取り巻く不正の温床となった根源は?
フォルクスワーゲンが引き起した問題とは
昨今世間を騒がしているフォルクスワーゲン社(以下VW)の排ガス不正問題とは、どのような事件であるのだろうか?
不祥事発覚から現在までを検証して、VW社のこれからを考えてみよう。
2015年9月中旬に米国で発覚
この不祥事は、2015年9月18日に米環境保護局より発表された。その内容はドイツの自動車会社VWグループが米国の排出ガス規制基準を満たしていない車を販売し、その数が2008年以降からの累計で50万台近くにもなるという。ただし運転性能そのものには問題が無いので、所有者が運転する事を咎めるものではない事を合わせて発表している。
その発表を受けて内部調査を行ったVW社は、ソフトウエアを用いて排ガス規制テストを潜り抜けるという不正を行った事を認めた。そしてこの不正問題の影響を受ける車の台数が、最大1,100万台にも上る可能性を示した。
車種としては「ゴルフ」を始めとして「ジェッタ」「ビートル」「パサート」が対象になり、グループ企業アウディ社の「A3」も対象になると発表。
またこれら不祥事に関する対策費として、65億ユーロ(約8,600億円)を引き当てる財務面の計画も同時に発表した。しかも米環境保護局によるとVW社は米大気浄化法の違反により罰金が科せられる可能性があり、1台当たり37,500ドルにもなる可能性があるそうだ。当然ながら、これらに伴って業績見通しの下方修正も迫られる事になるだろう。
また人事的な動きも急で、9月23日には最高経営責任者のマルティン・ウインターコルン氏が辞任を発表。そして25日にはグループ企業のアウディ社の最高技術責任者であるウルリッヒ・ハッケンベルク氏が辞任に追い込まれ、同グループ企業ポルシェ社の研究開発担当幹部ボルフガング・ハッツ氏も退社に追い込まれた。
不正はどの様に行われたのか
いったいVW社はどのような不正方法を用いて、排ガス規制テストを潜り抜けたのだろうか?
米環境保護局よりの発表によると、当該車種の電子制御装置内には無効化機能(defeat device)というソフトウエアが組み込まれている。
このソフトウエアはステアリング操作やエンジンの動き等によって、いまがテスト走行中なのか一般道を走行しているのかを判断できるらしい。そして今がテスト走行中と判断したら、エンジン出力を抑えて窒素化合物などの有害物質の排出を基準値以下に抑えるようにする。そして一般道を走行中と判断したら、排ガス低減装置の方を無効化してエンジンの性能を最大化するのである。
このような不正行為を【故意】に続けてきたのだとすれば、VW社の企業体質は腐り果てているとしか言いようがなくなってしまう。
米国の対応
さて不正が発生してしまった米国では、排出ガス規制テストはどの様に行われているのだろうか?
現在の米環境保護局による排出ガス規制テストでは一般道での走行テストは行わず、試験用のテスト場で行われているだけである。この様なテスト方法の為に、それを逆手に取るようなソフトウエアを用いてテストを潜り抜ける事が可能になってしまった。
そして先日ミシガン州の自動車研究センターによって、車から出る汚染物質の補足や制御がソフトウエアによって可能である事が確認された。これを受けて米環境保護局では、規制順守を徹底する事はもちろん監督方法を見直す事を検討している。
同局関係者によると、一般道での通常走行環境での試験を保護局自らが実施するか、自動車メーカー各社で実際に行ってもらう方法を検討しているそうである。
自動車のECU(Electrical Control Unit)のプログラムを作ったことがあるので、検査モードを判定して動作させることは難しくありません。しかし、それを販売する実車に搭載するのは別問題です。
ドイツでは倫理上の規範といったものが日本とは違うのでしょうか?
と思っていたら、三菱自動車が同じような問題を。なんだかなあ。