「高福祉国家」ドイツから見える日本の福祉計画の未来

1990年代以降、先進国を中心に活発な議論がなされるようになり、21世紀に入るといよいよ各国に巣食うようになっていった高齢化という問題。日本でも1995年に高齢社会対策基本法が成立し、20年以上に渡って様々な対策が講じられてきた。しかしながら福祉財政は膨れ上がる一方であり、明確な将来のビジョンも全く見えてこない。

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ドイツと日本は世界の高齢社会の二大巨頭である

ところで、今や全世界で国民の平均年齢が最も高い国となってしまった日本であるが、第二位がドイツであることは意外と知られていないだろう。ドイツもまた、日本と同じように世界有数の高齢社会であり、高齢化率は20%を超えている。先述した国民の平均年齢に関しても日本が46.5歳なのに対してドイツは46.2歳と大差がない。

これほど状況的には近接している日本とドイツだが、ドイツの福祉施策に日本のような悲壮感や閉塞感がそれほど無いように見えるのは、一体何故なのだろうか。ドイツと日本の福祉に関する財政、施策などから、その理由を探ってみよう。

社会保障財源はドイツの方が国民負担率が高い

両国の比較を行う前に、社会保障を行うための財源の確保方法に関しておさらいしておく。社会保障財源は、被保険者・勤労者からの社会保険料を主たるものとし、足りない部分は国や地方などによる公費負担でまかなうのが日本、ドイツに限らずほとんどの国におけるスタンダードとなっている。

実は、ドイツと日本における社会保障財源の構成比自体は、それほど大差がないものとなっている。日本もドイツも、社会保険料に依存する形で財源が用意されているのである。そして驚くべきことに、日本よりもドイツの方が、財源全体における保険料の割合が高くなっているのである。

具体的にはドイツにおける保険料負担割合が60%を超えているのに対して、日本の保険料負担割合は50%台中盤で推移している。公費負担の割合に関しても、日本の方がドイツよりも若干多くなっている。

また以下のように、国民の社会保障負担率に関してもドイツの方が大きくなっており、日本よりもドイツの方が、社会保障の財源を国民が担っている傾向にあると言えるだろう。

厚生労働省http://www.mhlw.go.jp/

にもかかわらず、ドイツ国内では社会保障に関する国民からの不満が少ない。それどころか、タイトルにもあるとおり北欧と並ぶ「高福祉国家」としてドイツの名声は高まるばかりだ。日本で年金や高齢者福祉、公的扶助への不安が連日のように叫ばれ続けているのとはまるで対照的である。ドイツの福祉施策に悲壮感がないのは、このように国民からの不満が少ないという部分が大きいと言えるだろう。

ではなぜ、ドイツ国内では福祉施策に対して国民からの不満が少ない状態が維持されているのだろうか。

>>次ページ
財源の「見える化」がもたらす安心感

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文蔵 一郎 のプロフィール写真
1989年北海道生まれ。北海学園大学法学部卒業後、官公庁に入庁し2年ほど実務を経験する。在職中に一念発起しフリーライターとして独立することを決意。退職後「元公務員ライター」として2016年から独立。大学時代から国際政治を専攻しており、幅広い見地と視野から国内外の政治経済の動向を見定められるよう奮闘している。


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