化学兵器に転用できる物質を独商社がシリアに輸出、火の粉はBASFにも

化学兵器として利用できる物質を独化学商社ブレンタークがシリアに輸出していたことが『南ドイツ新聞』などの報道で明らかになった。同社は輸出の事実を認めているものの、違法性はないと主張している。ベルギーの検察当局はシリアに輸出されたこれらの物質を製造したとして化学大手の独BASFなどを対象に捜査を開始した。

ブレンタークは2014年、スイス子会社ブレンターク・シュヴァイツァーハルを通してシリア企業MPIに化学物質イソプロパノールとジエチルアミンを納入した。ジエチルアミンは通常、溶剤や香粧品・医薬品の原料、ジエチルアミンは医薬品や塗料の原料としてそれぞれ利用されるが、化学兵器に転用することもできる。

ブレンタークによると、同社はこれらの物質を製薬原料としてMPIに納入した。MPIはスイス製薬大手からライセンスを受けて鎮痛剤を製造しているという。

ただメディア報道によると、MPIは内戦で化学兵器を投入した疑いを持たれるシリアのアサド政権と近い関係にあり、ブレンタークが納入した両化学物質が化学兵器に転用された疑いは排除できない。

欧州連合(EU)はシリアへのジエチルアミン輸出を12年、ジエチルアミンを同14年から許可制に切り替えた。これはEUからの直接的な輸出だけでなく、第三国を通した輸出にも適用されている。

ブレンタークは26日付の声明で、MPIへの両物質納入は現行法を遵守したもので、EUの輸出規制を回避していないと強調。また、同納入を対象にスイス連邦経済省経済事務局(SECO)が2018年に実施した再調査で違法性がないことが確認されたとして、MPIへの納入に問題はなかったとの立場を表明した。

独エッセン検察当局は非政府組織(NGO)3団体の刑事告発を受けて、ブレンタークへの捜査を開始するかどうかの検討に入った。近く結論を出す見通しだ。

一方、ベルギー検察当局は問題となっているジエチルアミンを同国のアントワープにあるBASFの工場、イソプロパノールを南ア化学大手サソールの独溶剤子会社サソール・ソルベンツ・ジャーマニーが製造した疑いがあるとして、捜査を開始した。

BASFの広報担当者はロイター通信に、同社が自らシリアにジエチルアミンを輸出したことはないと指摘したうえで、顧客への化学物質引き渡しは法律の枠内で行っていると強調した。顧客が疑わしいケースでは原則的に引き渡しを拒否しているという。ブレンタークにジエチルアミンを販売したかどうかについては回答を控えている。

感想・意見をみんなと共有しよう!!



関連記事

このページの先頭へ

Social Media Auto Publish Powered By : XYZScripts.com
ツールバーへスキップ