VWが電池セル量産へ、商用車子会社は夏休み前にIPO

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)グループは13日、監査役会と取締役会が将来に向けた重要な決議を行ったと発表した。経営資源を乗用車分野に絞り込む戦略を具体化するもので、今後本格化する電気自動車(EV)攻勢に向けて車載電池を自ら生産するほか、商用車子会社トレイトンの新規株式公開(IPO)を夏季休暇前に実施する意向だ。

VWは昨年4月、計12あるグループブランドを大衆車、高級車、超高級車、商用車の4部門に再編したうえで、乗用車事業との関連が薄い商用車部門を有限会社から株式会社へと改め、事業の拡大や強化に向けた資金を調達しやすくする方針を打ち出した。これを受けて商用車部門の社名を第3四半期に、フォルクスワーゲン・トラック・アンド・バス(VWTB)からトレイトン・グループへと変更した。IPOでは株式を最大25%公開し、市場資金60億ユーロを調達する考えだ。

トレイトンのIPOは当初、イースター休暇(4月19〜22日)前に実施する意向だった。だが、米国と中国の通商摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる混乱を背景に株式市場の不透明感が強まっていることから、「より良い市場環境下での上場を目指す」として先送りを決定した。今回の声明でも「今後の資本市場の展開」次第で夏休み以降に先送りする可能性を排除していない。

自動車業界は現在、車両の電動・IoT化、デジタル技術を利用した新サービスの登場など大きな変革期を迎えている。こうした課題に対応するためには巨額の資金が必要なことから、VWは経営資源を乗用車へと絞り込む。

乗用車の電動化では車載電池の確保が大きな課題の一つとなる。電動車を開発しても電池が不足すれば車両を生産・販売できないためだ。VWはそうした事態を避けるために、LG化学、SKI、CATL、サムスンの中韓4社を電池セルの戦略サプライヤーに選定し、セルを安定確保できるようにした。ただ、電動車の価値の最大部分を占めるセルの生産を自ら行った方が競争上、好ましいとみていることから、今回、セル生産を決議した。スウェーデンのスタートアップ企業ノースボルトと共同で生産する。VWは約10億ユーロを投じる。

セルは独北部のザルツギター工場で生産する計画だ。同工場にはすでにパイロット生産設備があり、稼働している。

ただ、ドイツは電力コストが高く大量の電力を必要とするセル生産に適していないという難点がある。このため、セル生産の採算が合うような枠組み条件を独・州政府が作り出すことが必要とVWはみている。

VWは同日、グループの複数ブランドの車両を生産する工場を欧州に建設するための具体的な交渉を開始することも決議した。社内情報としてロイター通信が報じたところによると、ブルガリアとトルコが最終候補地に絞り込まれたもようだ。

同社はこのほか、大型エンジンやターボ機械を製造する子会社MANエナジー・ソリューションズ(ES、旧ディーゼル・アンド・ターボ)と特殊ギア子会社レンクについて、戦略オプションを検討することも決議した。合弁化や提携先の模索、部分・全面売却を視野に入れている。両子会社はもともと、トレイトンの商用車子会社であるMANの傘下企業だったが、VWはトレイトンのIPOに向けて昨年末にMANから株式を取得した。

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